(事件)
石原産業四日市工場では硫酸法と塩素法で酸化チタンの生産をしているが、1997年に硫酸法の廃棄物の減量化と酸化チタンの製造コストの低減をはかるため、製造工程から副生する使用済み硫酸を再生利用して副生品を生産・販売する研究開発に着手した。
2001年から土壌埋戻材を「フェロシルト」と命名して販売を開始し、2003年には三重県リサイクル製品利用推進条例に基づく「リサイクル製品」に認定された。
2005年4月までの間に約77万トンのフェロシルトを生産、そのうち約72万トンが販売され、委託業者を通じて東海3県や京都府加茂町など35カ所に埋設された。業者がケナフを植えるための肥料と偽って埋め捨てたケースもある。
2004年11月、大雨によって愛知県北丘地区でフェロシルトが流出し、川の水を赤く染めるという事件が発生した。
サンプル検査の過程でフェロシルト中から基準値を超える6価クロムやフッ素化合物も含まれていることが分かった。
石原産業は2006年3月決算で、フェロシルト回収費用326 億円を特別損失に計上した。
「フェロシルト」の不法投棄事件で、廃棄物処理法違反(不法投棄)の罪に問われ、1審・津地裁で懲役2年の実刑判決を受けた同社四日市工場の元副工場長、佐藤驍被告の控訴審判決(2007/12)で、名古屋高裁は「不法投棄や隠ぺい工作の中心的な役割を担っていたと認められる」と1審判決を支持し、佐藤被告の控訴を棄却した。
2006/11/13 石原産業フェロシルト不法投棄事件
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石原産業は2007年4月、株主からの請求に基づき、元取締役佐藤驍に対し、取締役の責任追及にかかる損害賠償請求訴訟を提起した。(甲事件)
撤去・回収の費用負担を余儀なくされ多額の損害を受けたとし、当面、佐藤驍の取締役在任期間である2003年6月から2005年6月までの間の行為で、廃掃法違反による起訴事実に係る行為による損害10 億円につき賠償を求めるもの。
この訴訟に2つの訴訟が共同訴訟参加した。
①石原産業株主が、元取締役佐藤驍に対し、善管注意義務違反により会社に489 億円の損害を与えたとして、共同訴訟(乙事件)
②石原産業株主が、元取締役佐藤驍を除く他の取締役ら19 名に対し、善管注意義務違反の行為により、会社に489 億円の損害を与えたとして、同額の賠償を求めた株主代表訴訟(丙事件)
大阪地裁は2012年6月29日、これらに対する判決を言い渡した。
甲事件:被告佐藤驍に対し、会社への10 億円の支払命令。
乙事件:元取締役佐藤驍に対し、会社への475 億8400 万円の支払命令。
丙事件:元取締役Aに対し、会社への254 億5050 万円の支払命令
(内、101 億8020 万円は、元取締役亡Bの訴訟承継人と連帯)
元取締役亡Bの訴訟承継人3名に対し、会社への合計101億8020 万円の支払命令
(元取締役Aと連帯して、元取締役亡Bから相続した財産の存する限度)
その他の元取締役17 名に対する請求はいずれも棄却
なお、石原産業ではこの損害賠償金額の受領の可能性は未だ不確定であるとして、業績に与える影響を見込んでいない。
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