新日鐵住金の合理化策(コークス)

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新日本製鐵と住友金属工業は、2012年4月27日に株式交換契約と合弁契約を締結したが、両社は6月26日の株主総会で、その承認を得た。

この結果、2012年10月1日に両社は経営を統合し、新日鐵住金が発足する。

両社は、経営統合後3年程度を目途に、年率1,500億円規模の統合効果の実現を目指す。

うち調達関連では、
①原料調達・輸送効率向上による原料コスト削減
②設備仕様共通化、発注と契約の効率化による設備費・修繕費・資材費削減
③グループ会社の統合・連携(原料・工事・修繕・作業 等)
により、400億円程度を目指すとしている。

合理化策の一つが住友金属小倉製鉄所のコークスである。

住友金属では小倉製鉄所向けのコークスを三菱化学の坂出事業所から半世紀以上にわたって調達してきた。

三菱化学坂出事業所は世界最大級のコークス炉を323門有し、高品質のコークスを年間390万トン生産している。
世界中から石炭を輸入し、年間約60~70種類もの原料を様々な組み合わせでブレンドすることで、異なる品質のコークスを造り分けている。

しかし、同社では小倉製鉄所で使うコークスの調達の一部を三菱化学から新日鉄の持ち分法適用会社、日本コークス工業へ切り替える検討を始めた。

日本コークスは、工場が小倉製鉄所と同じ北九州市にあり物流費が安く、コークスを生産する際に発生するガスをパイプラインなどで小倉製鉄所に運び燃料として活用もできる。

日本コークスでは、コークス生産により発生するガスをクリーンエネルギー化のうえ、コークス焼成に再利用、余ったガスは新日本製鐵・八幡製鐵所に供給している。

住友金属では調達先の見直しにより、「原燃料費を年100億円以上減らせる可能性がある」としている。


三菱化学にとっては、新日鉄と住金の合併で思わぬ被害を受けることとなる。

日本コークスは旧称が三井鉱山である。

1889年 三井組が、大蔵省より官営三池炭鉱の払い下げを受ける。
1911年 三井合名会社より独立し、三井鉱山株式会社設立

1950年後半から エネルギー革命の進展の中、経営多角化を推進、コークス、セメント、機械事業へ進出

1988年 コークス炉1基を休止→2006年 休止コークス炉再稼動
1993年 三井三池化工機を合併
1997年 三池鉱業所を閉山、国内石炭採掘事業から撤退。
     (NEDO、525億円を債権放棄)
2004年 セメント事業から撤退

三井鉱山は2003年には債務超過状況を改善できないまま産業再生機構の管理下に置かれ、2006年まで事実上の国有化状態に置かれた。この間経営陣の刷新、財務体質の強化、遊休資産の売却等を進め、構造転換を図った。

 

主力のコークス事業では、北九州事業所の休止コークス炉を再稼動させ、新日本製鐵との間に長期供給契約を締結し安定供給を実現した。

年間生産能力は210万トンで、受け入れ~生産~搬送までの全工程をコンピュータ制御で無人化・合理化・高効率化を追求し、高品質な高炉用・鋳物用コークスを供給している。

2005年3月に再生機構は新日鐵、住友商事、大和証券SMBCに持株を譲渡した。(新日鉄と住友商事は各12.9%)

2008年2月に、新日鐵と住友商事は、三井住友銀行からB種優先株を取得し、普通株に転換した。
この結果、両社の持株比率は各21.7%となり、両社の持分法適用関連会社となった。

2009年4月、三井鉱山は日本コークス工業に改称した。

 

 


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