韓国の高位の外交筋は7月4日、「朝鮮半島から伸びた大陸棚が、自然な延長により沖縄海溝まで伸びているというのが韓国政府の立場」と述べ、近くこれを立証する地質学・海洋科学・法的情報を含む資料を大陸棚限界委員会に提出すると述べた。
韓国領海200海里の外側から日本の沖縄近くまで広がる大陸棚について、科学的・技術的な権利を認めるよう要請書を提出するというもの。
韓国外交通商省当局者は「国連への大陸棚画定に関する文書提出は(加盟国の)義務だ。日本との排他的経済水域(EEZ)境界画定交渉は別途行っていく予定だ」としている。
1970年に地図の青線部分を当時の朴正煕大統領が大韓民国の領海として公式宣言した。
日本との外交紛争となり、交渉の結果、1974年に2つの協定(合わせて通称 日韓大陸棚協定)が締結され、1978年6月に発効した。
①「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定」(略称:北部協定)
北緯33度付近から36度付近にかけての両国の大陸棚の境界を画定したもの。
境界線は対馬海峡西水道を通過するが、両国の領海基線に対してほぼ中間線となっている。
②「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定」(略称:南部協定)
境界画定を棚上げして石油・天然ガス資源の共同開発についてのみ細目にわたり協定した。
開発費用と収益を折半するという条件で、期限は2026年までの50年間。
締結から発効まで4年かかったのは日本側の事情。
・南部協定の共同開発区域が完全に日韓中間線以南の"日本側"大陸棚に設定されていること
・中国からの自国大陸棚への侵犯とする激しい抗議日本主張の「中間線原則」と、韓中両国の「大陸棚自然延長論」との衝突。
(当時は200海里の排他的経済水域の概念はなかった)なお、国際司法裁判所の「北海大陸棚事件」(1969年)では、国際司法裁判所は、「衡平な原則」でドイツの大陸棚を中間線ではなく、等距離原則より広く決めた。「衡平な原則」とは当事者間同士が合意できることとした。
韓国政府は今回、この共同開発区域全体を朝鮮半島から伸びた大陸棚と主張する。
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韓国紙は今回の動きの背景を以下の通り説明している。
①共同開発は2028年までだが、1986年に日本側が経済的効果が不十分という理由で開発拒否を宣言した。
それ以降、探査が中断され、共同開発の原則のため独自開発は不可能となっている。
②韓国側は日本の突然の宣言を、国際法の変更によるものと解釈している。
協定締結当時は、大陸棚で領海を分け合った。
1982年に国際海洋法で200海里までの主権を認める排他的経済水域の概念が採択された。この結果、共同開発区域の多くが日本の排他的経済水域になるため、2028年の共同開発の効力が切れた後に、独自開発を行う考えであろう。
③日韓共同で実施した調査では、この地域には石油と天然ガスの埋蔵量は72億トンに達する。
④この地域の一部は中国の主張する領海とも重なる。
国連海洋法条約は、排他的経済水域を200カイリと定めているが、東シナ海は海域が狭く日中両国のEEZが重なるため、日本は国際司法裁判所の判例などに照らして「重なる場合は中間線が境界」と主張。
一方、中国は、同条約の「大陸棚自然延長論」を主張。2008年5月の日中首脳会談で東シナ海のガス田共同開発で一致した。
白樺ガス田(中国名・春暁)の共同開発は両国の共同投資とし、収益分は先行投資した中国側に重点配分。
翌檜ガス田(同・龍井)周辺の日中中間線にまたがる海域を共同開発区域とする。(日韓共同開発区域に隣接)
合意対象外の日中中間線付近のガス田や、周辺海域の取り扱いについては継続協議。
⑤韓国はこれらの動きに反発、2009年に大陸棚の境界についての予備情報を大陸棚限界委員会に提出した。
まもなく提出される韓国の科学的・技術的権利の要求は、この予備情報の正式文書となる。
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