韓国が北朝鮮でレアアース開発?

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北朝鮮に埋蔵されたレアアースを開発するため、韓国と北朝鮮が昨年末に、北朝鮮の提案で開城工業団地で2回にわたって秘密協議を行ったことが明らかになった。

北朝鮮のレアアース共同開発提案は、2010年の天安艦沈没事件以降、韓国政府が対北朝鮮事業を事実上中断した「5.24措置」の後に出たもので、南北経済協力に突破口が開かれる契機になるかに注目が集まっている。

韓国政府は2010年5月24日に対北朝鮮措置を発表した。
 ・韓国海軍の哨戒艦沈没問題を国連安全保障理事会に提起。
 ・開城工業団地と金剛山地区を除き、韓国民の北朝鮮訪問を不許可。
 ・開城工業団地を除く南北間の交易と交流を中断。
 ・開城工業団地を含む北朝鮮に対する新たな事業投資を不許可。開城工業団地の滞在人員縮小。
 ・北朝鮮商船に開放されている釜山と済州島間を含む韓国側海域の航行を24日から不許可。
 ・韓国の領海、領空、領土を武力侵犯した場合は自衛権発動。
 ・南北非武装地帯周辺で大音量スピーカーを通じた対北朝鮮宣伝放送を24日から再開。
 ・米軍と合同で対潜水艦軍事演習を近く実施。
 ・大量破壊兵器拡散防止構想に基づく海上封鎖訓練を今年後半に実施。

報道によると、韓国鉱物資源公社が2011年9月に自社が投資した黄海南道延安郡の黒鉛鉱山開発問題を協議するため 、北朝鮮の民族経済協力連合会(民経連)の関係者と開城工業団地で接触し、この過程で北朝鮮がレアアース共同開発を提案してこれを議論した。
北朝鮮側はレアアースだけでなく、石炭鉱山の共同開発も強く提案したとされる。

南北は2002年3月に黄海南道延安郡の黒鉛鉱山の共同開発で合意し、大韓鉱業振興公社と北朝鮮の光明星総会社が折半の現物投資で2004年3月から開発を開始した。
同鉱山は埋蔵量が約625万トンで、生産量は年間3,000トン。公社側は15年間にわたり、毎年1,830トンを韓国側に搬入する計画で、2007年11月に初出荷された。

その後2011年11月に民族経済協力連合会関係者からレアアース鉱石のサンプル4個が渡され、サンプルを分析した結果、軽レアアースであることが確認された。
鉱物公社側は、サンプル分析結果を北朝鮮側に説明しようとしたが、金正日総書記の突然の死亡による情勢変化で追加協議は中断した。しかし、鉱物公社は北朝鮮側とホットラインを維持しているという。

金信鍾鉱物公社社長は本年2月に李明博大統領にレアアースサンプルの分析結果を報告した。大統領は「うまく進めてもらいたい」と激励したという。

鉱物公社では、同社が中国に投資した西安と北京のレアアース工場2カ所で北朝鮮のレアアースを精製することを検討している。
また、「共同生産に中国が参加すれば南北関係の変動にともなうリスクを減らすことができる」としている。

現在は韓国政府は北朝鮮への入国を許可しておらず、南北関係の改善が前提となる。

韓国の資源開発業界は、北朝鮮が開発中の鉱山696ヵ所にレアアースを含め42種の鉱物が埋蔵されているとみており、とくにレアアースは北朝鮮に最大で2000万トンほどが埋蔵されていると見込んでいる。
(アメリカ地質調査所の調査では、2010年の中国のレアアース埋蔵量は5500万トン)

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なお、2011年5月の金正日総書記の中国訪問時に、中国から肥料とトウモロコシの支援を受ける代わりに、中国に北朝鮮のレアアース開発を認めたと報道されている。

中国側は、北朝鮮の咸鏡道茂山のレアアース採掘設備を支援し、積み出すための道路の拡張と舗装費用を負担する。
レアアースの半分は中国側が受取り、残り半分は中国が国際相場で販売して収益を北朝鮮に支払うとされた。


 



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