中国商務部は8月22日、2012年のレアアース輸出枠の二次割当を9,770トンと決めた。これにより年間割当は30,996トンとなった。
報道では、輸出枠の前年比約2.7%増を、「中国がレアアースを不当に輸出規制しているとの国際的批判をかわす狙いとみられる」としているが、年間割当は2011年12月時点での商務部の想定(約31千トン)と変わらない。
年間割当のうち、軽希土は27,122トン、中重希土は3,874トンとなった。(本年より、それぞれで輸出枠が決められた)
2009 | 2010 | 2011 | 2012 | ||||||
2011/12/7 |
上期追加 |
2012/8/22 承認 |
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2011/12/7 仮承認 → |
2012/5/17 承認 |
上期合計 | |||||||
上期 | 25千トン | 14,446トン | 22,282トン | 軽希土 | 9,095トン | 12,605トン | 9,490トン | 18,585トン | |
中重希土 | 1,451トン | 1,753トン | 1,190トン | 2,641トン | |||||
合計 | 10,546トン | 14,358トン | 10,680トン | 21,226トン | |||||
下期 | 25千トン | 15,738トン | 7,976トン | 軽希土 | 8,537トン | ||||
中重希土 | 1,233トン | ||||||||
合計 | 約6,000トン | 9,770トン | |||||||
年間 | 50,145トン | 30,184トン | 30,258トン | 軽希土 | 27,122トン | ||||
中重希土 | 3,874トン | ||||||||
合計 | 約31,000トン | 30,996トン |
中国商務部は2011年12月7日、公告第1133号で、2012年のレアアースの輸出方針を発表した。1)2012年以降、軽希土と中重希土別に輸出枠を設定する。
ハイブリッド車用の高性能磁石に不可欠なジスプロシウムなどは年間でも4000トン程度に止まる。
2)第一次輸出割当は、厳しい環境検査を既に通過した五礦集團公司など11社に10,546トンを認める。
3)仮割当は包鋼集團公司など20社に合計14,358トン。
2012年7月末までに中国環境保護部の環境レビューを終えれば与えられる。
2011/12/28 中国商務部、2012年のレアアースの輸出方針を発表
商務部は2012年5月17日、追加で10,680トンを割り当てると発表した。追加割り当ての内訳は、軽希土類が9,490トン、重希土類が1,190トン。 年初来の割当量はこれで21,226トンとなった。
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輸出枠の設定後、輸出量は減少している。
2011年の実際の輸出量は18,600トンで、輸出枠30,258トンの61%に止まっている。
2012年1-6月のレアアース輸出総量は、2011年同期比42.7%減の4,908トンにとどまっている。
値上がりや海外需要家の在庫蓄積、海外産品の増加などもあるが、密輸の増大が大きな理由とみられている。
レアアースの密輸は、これまでの金属・酸化物から粗鉱の密輸に変化しつつあるという。
人民網日本語版(2012/8/10)は、一部の粗鉱はコンテナにより香港に密輸されるか、福建省から台湾を中継地として日本・ベトナム等に輸出され、製錬されていると述べている。
日本向け輸出の減も、密輸によるものではないかと見られている。
酸化ランタンの2011年上半期の日本向け輸出は約699トン、2012年上半期は約80%減の140トンのみ。
酸化ネオジムは2011年上半期が約230トンで、2012年上半期は約95%減の12.2トン。
中国工業情報化部の蘇波副部長は8月8日に開かれた「第4回中国包頭レアアース産業(国際)フォーラム」に出席した際、「中国のレアアース業界には、過剰生産・環境汚染・生態系の破壊・密輸犯罪といった問題が長期的に存在している。中国工業情報化部、中国国土資源部、中国環境保護部は昨年、レアアースの生産と環境保護に関する活動を展開し、10数件の密輸事件を摘発した」と述べた。
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