iPhone と iPad の特許をめぐり、米 Appleと韓国 Samsungが争っている裁判で、米カリフォルニア州San Joseの連邦北部地方裁判所の陪審団は8月24日、SamsungがAppleの一部特許を侵害したとして、10億5千万ドルのAppleの損害 を認定した。
本件の今後は以下の通り。
(最終判決)
この陪審団の評決に基づき、Lucy H. Koh判事は、来月、判決を下す予定。
故意の侵害が認められたため、損害賠償額は認定損害額10億5千万ドルの3倍まで認められる。
(当初、Appleは約25億ドルの損害賠償を求めていた。)Samsungは判決が言い渡され次第、米ワシントンの連邦巡回控訴裁判所に控訴する見通し。
(販売差し止め)
Koh判事は9月20日に、Appleが申請した三星モバイル端末の米国内販売差し止めについて審理を開始する。
陪審団が特許侵害を認めた21の製品が含まれるものと見られる。
しかしAppleは、Samsungが米市場で本格的な発売を開始した最新スマートフォン「Galaxy S3」も自社製品のデザイン特許をまねしたと見ており、販売差し止めリストに含ませる可能性もある。付記
AppleはSamsungが米国で販売しているスマートフォンの販売を差し止めるよう求める仮処分申請を米カリフォルニア州北部連邦地裁に提出した。
評決では28機種で特許侵害との判断が出たが、Appleはそのうち以下の最新の8機種について販売差し止めを申請した。
Galaxy S 4G、Galaxy S2 AT&T、Galaxy S2、Galaxy S2 T-Mobile、Galaxy S2 Epic 4G、
Galaxy S Showcase、Droid Charge、Galaxy Prevail両社間の訴訟対象ではなかった最新機種 Galaxy S3については、販売差し止めの申請を見送った。Appleではさらに法的検討を重ねた上で販売差し止めを申請するか、別途特許侵害訴訟を起こすとみられている。
今後、Samsung製品の米国販売が差し止められるなどの事態になれば、Samsungの経営戦略に影響が出そうだ。
また、Samsungは携帯端末に米GoogleのOS "Android"を搭載しているため、AppleとGoogleの「代理戦争」とも言われ注目された。
Samsungをはじめ"Android"を使うモバイル端末のメーカー各社(Googleが買収したMotorolaや台湾のHTCなど)がAppleの特許を使う見返りとして、ロイヤルティーを支払う(「Apple
Tax」と呼ばれている)こととなれば、消費者販売価格の値上げにつながりかねない。
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陪審団は、Samsungのスマートフォンの大半は、Appleの技術特許3件とデザイン特許4件のうちの3件(合計7件のうち6件)を侵害したと認めた。
このうち、指の動きをタッチパネルが感知する技術など5件はSamsungが「故意に侵害」したと認定 した。
技術特許 ① Bounce back ('381):ページの端をスクロールしたとき跳ね返る機能 ② Single Scroll, Pinch to Zoom ('915):1本指でスロール、2本指でピンチ、ズーム ③ Tap to Zoom ('163) :画面タップにより文書を拡大 デザイン特許 ① iPhone Front (D'677) :Galaxy Ace以外が侵害 ② iPhone Back (D'087):Galaxy S, the Galaxy S 4G, Vibrant が侵害 ③ iPhone Home Screen (D'305):13機種全てが侵害 ④ iPad Design (D'889) :侵害無し
一方 、陪審団は、「Appleが自社の特許を侵害した」とするSamsungの主張は一件も認めなかった。
'516 特許 : wireless technology '941 : wireless technology '711 : to play music while using other apps '893 : to scroll through the photo gallery, switch to the camera to take a pic, and then return to the same point '460 : to take a photo, preview it immediately, and email it off seamlessly
今回の評決は、世界9ヵ国で行われている訴訟にも、影響を及ぼすものと見られ、SamsungとAppleとの特許を巡る法廷攻防は「終わりではなく始まったばかり」という見方が出ている。
サムスン電子は8月25日、「この判決は消費者の選択権を減らし、革新を妨害するものだ。製品価格上昇を誘発するなど消費者と市場に不利益を及ぼし、グローバルIT業界の発展に否定的な影響を招きかねない」との見解を表明した。韓国のソウル中央地方裁判所は8月24日、AppleとSamsungの特許侵害訴訟をめぐる裁判で、両社とも双方の特許を侵害しているとの判決を下した。
Appleに対してはSamsungのワイヤレス技術に関する特許2件を侵害したとして4000万ウォン の支払いを、Samsungに対しては、電子文書をスクロールする際に使う機能に関するアップルの特許1件を侵害したとして2500万ウォンの支払いを、それぞれ命じ た。Samsungが自社のデザインを模倣したとするAppleの訴えは認められなかった。
その上で、「当社の革新的製品を米国の消費者に問題なく提供できるように、全ての法的措置を取る」とし、自社の主張が受け入れられるよう努力を続けることを強調した。
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今回の裁判では裁判官が韓国系であることで注目された。
Lucy Kohは1968年にWashington D.C.で生まれた。
2010年6月にObama大統領の指名でSan Jose連邦北部地方裁判所判事となった。
当初は、韓国企業と米国企業の裁判に韓国系の判事ということで話題となったが、訴訟指揮は高く評価されている。
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