DuPontとMonsantoの特許を巡る米国地裁の裁判で8月1日、陪審員はDuPontとその100%子会社 DuPont Pioneerに故意の侵害(willful infringement)があると認め、10億ドルの支払いを命じた。故意の侵害の場合、賠償金は増額される。
Monsantoは2009年5月、DuPont子会社のPioneer Hi-Bred International (その後DuPont Pioneerに改称)が2002年のライセンス契約に違反して、Roundup Ready 大豆とDuPont のGAT農薬耐性大豆をセットにしているとして訴えた。
PioneerはRoundup Ready販売の権利を持つが、DuPont のOGATに置き換えるとしていた。
しかし、OGATだけでは問題があることを認めており、Roundup Readyとセットにして販売した。
これに対してDuPont は翌6月、両種子技術をセットにする(stacking) のはライセンス契約の範囲内であると主張、更に、Monsanto特許は無効であり、Monsantoは特許を不当に使って、コーンと大豆の市場を支配しているとして訴訟を起こした。
「Monsantoの訴訟は競合製品の使用を制限する戦術の一つである。農家は多くの技術の中から最適のものを使うことを望んでおり、その権利がある。
両種子のセットは生産性や多種の雑草防止などの点で市場の他の製品よりも優れている。
Monsantoが課している非競合制限なしで、最もよい組み合わせを行うのが生産者にも消費者にも役に立つ。」2010/1/19 米司法省、独禁法違反でモンサントを調査
陪審員は、DuPont側が自社のOGATが初期の開発段階でうまくいかなかったため、これを隠すために、Monsanto特許のRoundup Ready技術を故意に侵害したと判断した。
Monsantoによれば、裁判でDuPont側が提出した資料から、DuPont上層部はOGATが失敗だったことを隠すため、Monsantoの特許を不正に利用したが明らかである。DuPontのトップや役員会に何度も調査するよう依頼したが、対応しなかったのは残念としている。
また、MonsantoはDuPontに対して、OGATとRoundup
Readyのセット使用についてのライセンスを何度も提案したが、DuPontは応じなかったという。
この判決を受け、DuPontは、判決にはいくつもの間違いがあり、上告すると発表した。
・MonsantoのRoundup Ready大豆特許 (RE 39,247)は無効である。
Monsantoは特許申請に当たり、何度も、意図的に、特許庁をだました。
・10億ドルの判決はおかしい。
今回の裁判で扱われなかったMonsantoのこの特許に関する不正行為に関しては、2013年9月に予定される対モンサントの独禁法違反と特許不正利用の裁判で争うとしている。
なお、St.
Louis地裁は2010年に、DuPontとMonsantoの間のRoundup Ready のライセンス契約には、大豆またはコーンでDuPontのOGATとMonsantoのRoundup
Ready traitをセットにするのを禁じる書かれていないが黙示("implied")の条項を含んでいると裁定している。
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