韓国にとっての竹島の価値

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ソウル科学技術大学エネルギー環境大学院のユ・スンフン教授は8月17日、報告書「独島の経済的価値評価」を発表した。

それによると、2012年7月末時点での竹島(韓国では独島)の価値は12兆5586億ウオン(約8800億円)となった。

内訳は以下の通り。(1000ウオン=70円で換算)

  億ウオン 億円
市場的
 価値
メタンハイドレート 111892 7,832
海洋生物資源 1 0
観光価値 557 39
非市場価値 13,136 920
125,586 8,791

 メタンハイドレート

韓国政府は2005年7月、韓国石油公社、ガス公社、地質資源研究院で構成されたガスハイドレート開発事業団を作り、探査を推進してきたが、2007年6月、韓国地質資源研究院の物理探査船探海2号を利用して浦項基点北東方向135キロ、鬱陵島南方向約100キロの海上で自然状態のガスハイドレートを採取するのに成功した。

 

知識経済部では鬱陵海盆 6-1鉱区に約8億トンが埋蔵されていることが確認されたとしている。
これは韓国の年間国内ガス使用量(2700万トン)を基準に30年ほど使用できる規模としている。特に、この地域のガスハイドレートに含まれたメタンは純度が99%以上であり、経済的な価値が大きいとしている。

韓国は2014年までの試験生産完了を目標にしている。

実際には技術的に非常に難しく、日本でも東部南海トラフ海域(静岡県~和歌山県沖)を本格調査し、約1.1兆立方メートルの埋蔵量が確認されているが、2009年3月の「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」のロードマップでは、商業化の実現に向けた技術の整備に2016~2018年度の3年間程度を見ている。

2010/2/23   韓国、対馬海盆でガスハイドレート開発
 

 海洋生物資源の価値は約1億ウォン、観光価値は557億ウォンと分析された。

 「非市場的価値」

これは「独島を守ったり保存するためにいくらの費用を払えるか」という質問に国民が答えた金額。
漢江河口(913億ウォン)や閑麗海上国立公園(1026億ウォン)に支払うという費用より多い。

ーーー

メタンハイドレートが発見されたため、竹島の「市場的価値」は急増した。
韓国人の対日国民感情に竹島の「市場的価値」が加わり、解決の道は遠のく。

それまでは実質的には価値がないとみなされていた。

竹島問題は1952年1月18日に、当時の李承晩韓国大統領が「隣接海洋の主権」を主張し、公海上に「李承晩ライン」を宣言したことが発端である。

1954年9月には韓国政府は竹島の武力占拠を決定し、灯台を設置した。

日本は1954年と1962年に国際裁判所への提訴を韓国政府に打診したが、韓国側はそれを拒否、現在に至っている。
なお、1965年の日韓国交正常化時に定めた「紛争解決に関する交換公文」では、「調停」による解決をうたっている。

両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかつた場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によつて解決を図るものとする。
 (但し、韓国政府は竹島を巡る領土紛争自体が存在しないとの立場を取っている。)

李承晩ラインが引かれた理由は3つあるといわれている。(2005/3/22 毎日新聞夕刊)

1. 漁業活動での衝突を回避しようという意図

朝鮮半島近海では戦前から日本が漁労活動をしており、戦後も同様なら漁業被害を受けるとの危ぐを韓国側は抱いていた。

2.サンフランシスコ講和条約の第2条のa項、朝鮮の領土の規定の部分に関係 (注 参照)

講和条約では当初、竹島は朝鮮の領土とされていたが、最終案では日本領土となった。
それを知った韓国側は、条約の発効以前に竹島の領有権を主張しようと考えた。
    

3. 国交正常化交渉での外交カード

朝鮮半島に残された日本人の個人財産は韓国の全財産の80~90%とも言われた。
それを全部持ち出されれば、韓国は破たんするため、李承晩ラインを根拠に200隻以上の日本漁船を掌捕、
正常化交渉では抑留漁船員と竹島をいわば人質に、日本政府に譲歩を迫った。

日本は韓国に対し、朝鮮に投資した資本及び日本人の個別財産の全てを放棄するとともに、約11億ドルの無償資金と借款を援助すること、韓国は対日請求権を放棄することに合意した。

1960年代の日韓国交正常化交渉時代には、竹島が価値がないのに争いの対象となったため、日韓双方が爆破案を持ち出したと言われている。

日韓国交正常化を前にした1965年に朴正煕大統領がディーン・ラスク米国務長官に対し、
「小さなことだとはいえ、腹が立つ問題のひとつが竹島問題。解決のため、島を爆破したい」と語った。
ラスク長官は「所属をあいまいにしてはどうか」などと提案したという。(この発言は米国立公文書館に保管されている)
今回セヌリ党の大統領候補に選出された朴槿恵(朴正煕の娘)がこの件で攻撃された。

逆に、韓国政府が公開した外交文書によれは、1962年に行われた日韓の折衝で、伊関佑二郎・日本外務省アジア局長が、
「竹島は無価値だ。日比谷公園と同じくらいの大きさなのだから、爆破してしまえば問題はなくなる」
と発言したとされている。

ーーー

注 サンフランシスコ講和条約の第2条のa項

日本が放棄すべき地域として「済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮」と規定.。

これに対し、韓国側は、「朝鮮並びに済州島、巨文島、鬱陵島、独島及びパラン島」とするよう要請。

これに対するラスク極東担当国務次官補の回答は以下の通り。

  「ドク島、または竹島ないしリアンクール岩として知られる島に関しては、この通常無人である岩島は、
   我々の情報によれば朝鮮の一部として取り扱われたことが決してなく、
   1905年頃から日本の島根県隠岐島支庁の管轄下にある。
      この島は、かつて朝鮮によって領有権の主張がなされたとは見られない。
   またバラン島という島は存在しない。」

 

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