チリの銅資産権益を保有する英国のAnglo Americanの子会社Anglo American Sur S.Aを巡るAnglo Americanとチリ銅公団(CODELCO)の紛争が、8月23日、和解で解決した。
問題の発端は、2011年11月に三菱商事がAnglo American Sur S.Aの株式24.5%を53.9億米ドルで買収すると発表したこと。
Anglo American Surは、チリ国内にLos Bronces銅鉱山、El Soldado銅鉱山、Chagres銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区などの優良資産を保有する。
Los Bronces銅鉱山:現在生産量 22万トン→2012年 40万トン
近隣にLos Sulfatos鉱区及びSan Enrique Monolitoト鉱区の有望未開発鉱区が存在
El Soldado銅鉱山:生産量 4万トンChagres銅製錬所:年間約14万トンの銅アノードを生産
三菱商事はAnglo American から打診を受けたものとされるが、Anglo American は別途、チリの国営資源大手チリ銅公団(CODELCO:Corporacion Nacional del Cobre de Chile)に株式の49%購入のオプションを与えており、三井物産がこの資金を供給する契約を締結している。
三井物産はCODELCOとの間で、CODELCOによるAnglo American Surの最大49%の株式取得資金として、67.5億米ドルを上限とする短期つなぎ融資契約を締結した。
また、CODELCOが取得したAnglo American Sur 株式の半分を譲渡することによって返済する権利を借主に与える契約も締結した。
さらに、両社の多面的な関係を構築する一環として、両社は下記の銅売買契約を締結した。
銅売買契約 (1)期間 10年間 (2012年~2021年) (2)年間平均買取数量 銅精鉱 65,000 DMT
銅地金 12,000 MT
合計 30,000 MT(銅地金換算)(3)買取価格 市場価格及び市場取引条件により決定
CODELCOは、「われわれの権利は明確だ。49%の株式を取得する」と主張し、Anglo Americanは、CODELCOへの売却はAnglo Americanの持分の49%であり、三菱商事への売却部分は除かれるとし、両社とも法的措置を取った。
2011/11/12 三菱商事、チリの銅鉱山・製錬所運営会社に出資
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三菱商事は8月23日、以下の発表を行った。
三菱商事はAnglo AmericanにAnglo American Surの持株24.5%のうち、4.1%を8.95億ドルで売却する。
Anglo Americanはこれと自社持分のうち24.5%と合わせた29.5%を、CODELCO/三井物産JVに譲渡する。
三井物産も同日発表を行った。
CODELCO/三井物産JVのInversiones Mineras Acrux SpA(Acrux)がAnglo American Surの29.5%を取得する。
このうち、24.5%取得の為の18.63 億米ドルは三井物産からCODELCOへの短期つなぎ融資で、
残り5%は合弁会社Acruxへの出資金(11億ドル)で購入する。三井物産はAcrux社の17%を保有する。(間接的にAnglo American Surの5.015%を保有)
CODELCOが三井物産からの有利な条件での借換融資を受諾した場合、三井物産はJVの15.25%を追加取得する権利を取得する。
付記
2012年11月2日、15.25%の追加取得を発表、32.20%とした。間接的にAnglo American Surの9.5%を保有することとなる。
短期つなぎ融資の返済時に当該融資の一部をAcrux社の株式15.25%をもって返済し、その融資残債務(9億米ドル)を貸付期間20年間の長期融資に転換する。三井物産はAnglo American Surの生産する銅の29.5%を引き取り、その全量を販売する権利を保有する。
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