JX日鉱日石金属と三井金属鉱業は9月10日、両社のJV(JX 66%、三井金属 34%)の銅事業会社パンパシフィック・カッパーが石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)からチリとアルゼンチンにまたがるFrontera 地域における銅・金資源の探鉱権益を譲り受けたと発表した。
パンパシフィック・カッパーでは三井物産とのJVのSCM Minera Lumina Copper Chileで、これに隣接するチリのCaserones 銅・モリヴデン鉱床の開発を行っている。
1)Frontera 計画
JOGMECはカナダのNGEx Resourcesと共同でチリとアルゼンチンにまたがるFrontera
地域で銅と金の探鉱を行ってきた。
(JOGMEC 40%、NGEx Resources 60%)
NGEx Resourcesはカナダ・バンクーバーに本拠を置く非鉄金属探鉱会社 で、南米・カナダに探鉱鉱区を所有している。
Frontera 地域は、両国の国境付近の山岳地帯に位置し、アクセスが困難であることから十分な探鉱が行われてこなかった有望地域の一つ。
チリ共和国第Ⅲ及びアルゼンチン共和国San Juan 州北西部とLa Rioja州南西部にまたがるアンデス山岳地帯に位置する。総面積は約24,000ha、北側はCaserones 銅・モリヴデン鉱床と接している。
JOGMECは、2004年に初期探鉱段階にあった本事業に参画して以降、ボーリング調査等を実施し本地域内のLos Helados地区(チリ)に経済的に採掘可能な銅・金鉱床が賦存する可能性を把握した。現在、Los HeladosとFilo del Sol(アルゼンチン)の2地区において精力的に探鉱活動が行われている(このほかに、アルゼンチンのJosemaria地区でも探鉱を行っている。)
JOGMECではこの時点で、Frontera 地域に係る権益の譲渡に関する入札を実施し、落札者であるパンパシフィック・カッパーに譲渡した。
パンパシフィック・カッパーでは今後、探鉱を実施して埋蔵鉱量を確認のうえ、開発に向けた検討を進めていく。
2)Caserones計画
当時の 日鉱金属と三井金属鉱業の共同出資による銅事業会社パンパシフィック・カッパーは、2006年5月に権益を取得して、チリのCaserones 銅・モリヴデン鉱床開発プロジェクトの鉱量確認探鉱、選鉱試験等に基づく経済性評価を実施した。
その結果、このプロジェクトの開発は充分な経済性が見込まれるとの結論を得て、チリの第3州環境委員会による環境認可が採択されたため、開発への移行を決定 した。
このプロジェクトに三井物産が25%の出資比率で参加することを決め、両社はJVのSCM Minera Lumina Copper Chileを設立した。
当初の投資額は20億米ドルであったが、その後の銅価上昇に伴う対米ドルでのチリ・ペソ高、資機材・工事価格の上昇、詳細設計に基づく工事計画の一部変更等を勘案して投資額の見直しを行い、2011年11月に約30億米ドルに見直した。
概要は以下の通り。
プロセス
(銅精鉱・モリブデン精鉱の生産)
破砕・磨鉱→浮遊選鉱・脱水→銅精鉱・モリブデン精鉱→出荷採掘(露天掘り)
(溶媒抽出電解採取法=SX-EW法による電気銅の生産)
ダンプリーチング→SX-EW→電気銅→出荷生産量(見込み)当初 10 年間平均
銅: 銅精鉱(量) 約 15 万トン /年
電気銅 約 3万トン /年
計 約 18 万トン /年
モリブデン 約 3千トン /年
コメントする