韓国のシェールガスへの関心

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韓国知識経済部の趙石第2次官は8月29日に米ヒューストンの総領事館で開かれた記者会見で、北米で開発が進む新型天然ガス「シェールガス」について述べた。

 ・シェールガスの黄金時代が来るだろう。
 ・他国から多くのエネルギーを輸入する韓国にとって、シェールガス開発への参加はエネルギーの円滑な供給に向け非常に重要だ。

 ・全ての輸送費用を含めても従来のガスより30%安いと見込まれる。
 ・韓国ガス公社がこの水準の価格で2017年からガスを輸入する契約を結んだ。

韓国ガス公社は本年3月、ルイジアナ州のSabine Pass で天然ガスのLNG化設備を建設中のCheniereとの間で、2017年から20年間にわたってシェールガスを液化した液化天然ガスを年間350万トン輸入する契約を結んだ。
これは韓国の昨年の輸入量の10%以上に相当する。

FOB価格は、原料ガスコスト(Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費(ガス化費用など)。

Cheniereは2010年9月に米国がFTAが発効している国に限定して輸出許可を受けたが、異議申し立てを行い、2011年5月に条件付きですべての貿易相手国への輸出が認められた。
この結果、当時はFTAが発効していなかった韓国の韓国ガス公社も認められた。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

韓国石油公社(KNOC) は2011 年3 月、独立系大手の石油・天然ガス会社Anadarko Petroleum とテキサス州の Eagle Ford Shale 鉱区の資本参加に15.5 億ドルで合意したと発表した。

KNOC はMaverick 盆地鉱区でのAnadarko の2011年の掘削費用100%とそれ以降2013年末までの90%(合計15.5億ドルまで)を支払い、その見返りに23.67%の権利を取得する。

同鉱区で生産可能なシェールガス量は1億5000万石油換算バレルに達すると見込まれる。

韓国政府は、韓国ガス公社などの公営企業と民間企業による共同体を作って、アメリカとカナダが進めるシェールガス田の開発に参入する方針を決めた。

大統領府青瓦台が7月20日に明らかにしたところによると、アメリカとカナダのシェールガス田の開発に、韓国も政府レベルで参入し、向こう数年間に数十兆ウォンを投じる。

まず、韓国ガス公社や韓国石油公社などの公企業及び民間企業によるコンソーシアムを組織し、米国とカナダのシェールガス田開発に参入するため、シェールガス鉱区買収の検討を進めており、近く具体化する。

韓国はエネルギーの海外依存度が97%に達し、原油やガスの海外鉱区開発・買収により確保した資源の比率を示す自主開発率は13.7%にすぎない。このため、エネルギーの安定的な確保は恒常的な課題になっている。

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米国はLNGを戦略物質とみなし、輸出を個別の許可制にしている。

唯一の例外は本土48州に輸送不可能だったアラスカのKenai LNGの輸出だった。

日本の各社が米国のシェールガス開発に相次いで参加しているが、日本への輸出には米国政府の個別承認が必要となる。

米国は輸出承認で米国とFTAを締結している国とそれ以外で差をつけており、FTAを結んでいない日本はガス輸入のハードルが高い。

中国との紛争を避けつつ、中国へのLNG輸出を避けるためには、FTA締結を条件にする案が出てくる。

野田首相は4月30日のオバマ米大統領との首脳会談で、LNGの対日輸出拡大などエネルギー面での協力を求めた。

オバマ大統領は首相の輸出要請に対し、「日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要」と理解を示す一方、「(対日輸出は)政策決定プロセスにある」として、明言は避けた。日本政府内には「少なくとも11月の大統領選までは、オバマ大統領が輸出認可に動く可能性は低い」との見方が強い。

これに対し、韓国の場合は米韓FTAが発効しているため、LNGの輸入許可の問題はない。

LNGの輸入問題で韓国に差を付けられる恐れがある。




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