三井化学は9月5日、国内勝ち残りへ向けて、千葉地区で更なる石化事業の構造改革を実施することを決定したと発表した。
出光興産と共に運営している千葉ケミカル製造有限責任事業組合(LLP)で、低稼働領域で高効率となる改造を行い、2013年8月から稼動する。
合わせてLLPの2基のエチレン製造装置をより柔軟に最適運営出来る対策を進めている。
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三井化学と出光興産は2010年4月に、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。
中東及び中国を中心とした大型石化設備の新増設、北米におけるシェールガスの台頭などにより、日本の石化事業は抜本的な国際競争力の強化が必須の状況にあるとし、統合により、日本トップレベルの競争力をもつエチレンセンターの構築を目指した。
2010年4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立、同年10月1日に出光の37万トン、三井の55万トン、合計92万トンのエチレン装置を譲渡し、LLPの運営を開始した。
2010/4/3 出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合
今般、エチレン装置について、今後の誘導品流入による内需の低下及び輸出市況の低迷による低稼働を見込み、需要動向に柔軟に対応するために改造を行う。
生産能力は変わらないが、稼働率を70%まで落としても高効率な安定運転を維持できるという。
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合わせて、両社のポリオレフィンJVのプライムポリマーの姉崎工場(旧 出光)の高密度ポリエチレン製造設備1系列(13万トン)を2013年3月に停止することを発表した。
プライムポリマーではポリオレフィン事業で以下のような徹底的な合理化と汎用分野から高付加価値分野へのシフトを進めている。
1)宇部ポリプロ 停止、精算(2010/4/5 発表)
宇部市三井化学西沖工場内 9万トン 2011/3 停止、2012/3 精算
2)ポリプロピレン製造設備 1系列 停止(2012/6/20 発表)
市原工場(旧 三井) 9万トン 2013/6停止
プライムポリマー PP能力 (トン)
処理前 処理後 徳山ポリプロ
徳山
200,000
200,000 宇部ポリプロ
宇部
90,000 0 プライムポリマー
出光 千葉
400,000
400,000 三井 千葉
223,000
133,000 三井 大阪
448,000
448,000 合計
(1,071,000)
(981,000) 総合計 1,361,000 1,181,000
3)メタロセン触媒系HAO-LLDPE 「エボリュー」の増強 (2010/2/24発表)
日本エボリュー(出資比率:プライムポリマー 75%、住友化学 25%の生産JV)
三井化学㈱市原工場内 2011/11完工
当初
200千トン増強
240千トン増強
300千トンプライムポリマー 150 190 250 住友化学 50 50 50
4)高密度ポリエチレン製造設備1系列 停止 (今回発表)
姉崎工場(旧 出光) 13万トン 2013/3 停止
プライムポリマー PE能力 (トン)
会社名 工場 LDPE LLDPE LL/HD併産 HDPE 合計 処理後 LL HD 日本エボリュー
千葉
;
240,000
;
;
;
240,000
300,000 三井化学 岩国・大竹 ;
;
;
;
3,000
3,000
3,000 プライムポリマー
出光興産千葉 ;
60,000
;
;
130,000
190,000
60,000
三井化学千葉
;
85,000
11,000
87,000
116,000
299,000
小計
;
(145,000)
(11,000)
(87,000)
(246,000)
(489,000)
(359,000) 三井・デュポン
ポリケミカル千葉
110,000
;
;
;
;
110,000
岩国・大竹
60,000
;
;
;
;
60,000
小計
(170,000)
;
;
;
;
(170,000)
(170,000) 総合計 170,000 385,000 11,000 87,000 249,000 902,000 832,000 * 日本エボリュー能力には住友化学枠(50千トン)を含む。
なお、三菱化学も本年6月29日、日本ポリエチレンと日本ポリプロが川崎市千鳥地区のHDPE及びPP工場(旧 東燃化学)各1系列を2014年4月に停止すると発表している。
日本ポリエチレン 日本ポリプロ 停止プラント HDPE 第二系列(スラリー法) PP 第3系列(バルクー気相法) 元の所有者 東燃化学(昭電より譲受) 東燃化学 能力 52,000トン/年 89,000トン/年
2012/7/9 三菱化学、旧東燃化学川崎のPEとPPを停止へ
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三井化学と出光興産は千葉地区のエチレンを統合して千葉ケミカル製造有限責任事業組合(LLP)を設立したが、三菱化学と旭化成も水島地区のエチレンを統合し、西日本エチレン有限責任事業組合を設立している。
定修スキップ年能力は、旭化成は504千トン、三菱化学は494千トン。
西日本エチレン有限責任事業組合の最適化計画は以下の通りで、エチレン需要3割減を前提とした減産体制を取り、更にエチレン需要が縮小すれば、その時点でエチレンを1基に集約するとしている。
(1) 両社ともエチレンセンター生産設備のダウンサイジング
エチレン需要3割減を前提とした設備対応(2012年までに実施)
(2) さらなるエチレン需要の縮小時にはエチレンセンターを1基に集約(需要動向にあわせて実施)
以下略
2011/3/1 三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合のためのLLP設立
東西のエチレン統合会社はいずれも、需要減に対応して統合しながら、工場を止めず、双方の工場の 70%操業を前提にした設備対応をとることになる。
最適合理化策は、どちらか1つのエチレンの停止であり、固定費削減により大きな効果が得られる。
仮にエチレンが若干不足すれば、他のエチレンセンターは減産しているため、どこからでも安く購入できる。
これが出来ないのは、雇用問題を中心とする日本の固有事情であるが、敢えてこれに踏み切らない限り、生き残りは難しい。
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