ドイツ憲法裁判所は9月12日、一定条件の下で欧州安定メカニズム(ESM)と欧州財政協定の批准を認める判断を下した。
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2012年2月、ESM創設条約が署名された。当初の予定を1年繰り上げ、2012年7月発効を目指した。
当初の最大融資能力は、7,000億ユーロの応募資本(800億ユーロの資本金と6,200億ユーロの請求払資本)によって得られる5,000億ユーロ (払込資本金/融資額は15%以上とする)
EU27カ国は3月30日、コペンハーゲンでユーロ圏財務相会合を開き、債務危機に対応するための安全網全体の規模(2013年7月以降)を現在の案の5,000億ユーロから8,000億ユーロ(約88兆円)に拡大することで合意した。
但し、8,000億ユーロの内訳は本年7月に発足する(予定であった)欧州版IMFの欧州安定メカニズム(ESM)の5,000億ユーロに、既に実施済み又は実施予定のものを加えたもの。
2012/4/2 ユーロ圏、金融安全網 8,000億ユーロに拡大で合意
ドイツ議会は6月29日、深夜近くまで及んだ審議でEU財政協定と欧州安定化メカニズム(ESM)を上下両院とも3分の2の賛成で承認した。
しかし、これに反対する学者や議員、一般国民など3万7千人が、国民の税金がESMを通じて南欧諸国に流れる
とし、ESMや欧州財政協定は違憲だとして憲法裁判所に提訴した。
とりわけESMに関する訴えでは、主権がドイツからEUへ不法に移管されるとして批判した。
ガウク大統領は、憲法裁判所が承認するまで署名しない方針を示した。
このため、ESMの発足はドイツの憲法裁判所の承認待ちとなっていた。
(ユーロ圏17カ国でドイツ以外は批准している。)
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今回、憲法裁は、「どの危機対策がドイツと欧州のために良いことか現時点では断言できない」と指摘し、「それを判断するのは有権者から選ばれた政治家だ」と述べた。さらに、「憲法裁は危機対策が有効か検証する機関ではない」とも説明した。
「訴えはおおむね正当な理由を欠く」として退け、憲法違反にならないとの判断を下したが、2つの条件を課した。
1)ESMに対するドイツの負担金の上限を1900億ユーロとし、将来的にこれを超える場合には、下院による事前承認が必要と指摘した。
応募資本合計 7000億ユーロx27.15%(ドイツ負担比率)
2)ESMに関する決定の機密保持を盛り込んだESM条約の条項について
「上下両院への包括的な情報提供を妨げるものであってはならない」との判断を下した。
ショイブレ独財務相は、上記の2点について補足などの形でESM条約に盛り込み、数週間以内にもESMは稼動できるとの見方を示した。
ユーログループのユンケル議長は、10月8日にESMの初回理事会を開く方針を明らかにした。
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ESMの概要
安全網規模:8000億ユーロ(ESM 5000億ユーロ+実施済 約3000億ユーロ)
ESMは7,000億ユーロの応募資本(800億ユーロの資本金と6,200億ユーロの請求払資本)をテコにESM債の発行などで金融市場から調達する 。
払込資本金/融資額は15%以上とすると決められており、800億ユーロの資本金で、5,000億ユーロが最大融資能力となる
。
ユーロ圏17カ国は800億ユーロの資本金を分割払いにする。
現在の予定では以下の通り。
資本金払込 金額 累積融資能力 払込/融資 2012年下期 320億ユーロ 2100億ユーロ 15.2% 2013年7月 320億ユーロ 4200億ユーロ 15.2% 2014年上期 160億ユーロ 5000億ユーロ 16.0% 合計 800億ユーロ
各国の出資比率は以下の通り。
Austria 2.78% Belgium 3.48% Cyprus 0.20% Estonia 0.19% Finland 1.80% France 20.39% Germany 27.15% Greece 2.82% Ireland 1.59% Italy 17.91% Luxembourg 0.25% Malta 0.07% Netherlands 5.72% Portugal 2.51% Slovakia 0.82% Slovenia 0.43% Spain 11.90%
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EUの欧州委員会は9月12日、ユーロ圏の銀行を一括して規制する銀行監督一元化案を正式に発表した。
欧州中央銀行(ECB)が2013年初めから、段階的に域内の銀行を監督対象にしていく。
2013年7月には大手銀行を、2014年1月からは域内の全銀行を対象とする計画。
現状では欧州安定メカニズム(ESM)は銀行に直接投資することは出来ず、各国に融資し、国が銀行に投資する。
このため、各国の債務が増えることとなる。
銀行監督一元化が出来れば、企業への直接投資に道を開くこととなる。
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