ビールの原料、ホップに含まれる成分に筋肉の萎縮や老化を抑える効果があることを、徳島大大学院の寺尾純二教授(食品機能学)らの研究チームが発見し、米科学誌PLOS
ONE電子版で発表した。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0045048
ホップの効能は昔から知られており、鎮静作用や食欲増進作用を持つ複数の機能性物質があるとされる。
今回調べた成分もその一つで、ビールの製造過程や腸に吸収されるときに増加する。
座骨神経を切除して筋肉が減っていく状態にしたマウスを使った実験で、ホップに含まれるフラボノイド化合物が入った餌を与えたところ、筋肉量の低下が抑制された。
プレニル化されたフラボノイドの方が、そうでないフラボノイドよりも、まひした脚の細胞に約10倍多く蓄積し、効果を示しやすいことも確かめた。
このフラボノイド化合物はプレニル化フラボノイド の 8-Prenylnaringenin (8-PN)で、ビールの製造過程やビールを飲んだ人間の腸内で生成される。
ホップ特有のフラボノイドのキサントフモール(Xanthohumol)は、抗菌活性をはじめ数多くの生理活性をもっていることが報告されてい る。
キサントフモールは、ビールの製造過程で大部分がイソキサントフモールに変化する。
これが、脱メチル反応や、体内での微生物の代謝作用で8-PNとなる。8-Prenylnaringeninはナリンゲニン(Naringenin)をプレニル化したものだが、プレニル化が何故 効果を生むのかは不明という。
実験でマウスが1日に摂取した量は、体重50キロの人間で換算すると、ホップの乾燥粉末では毎日1キログラム、この成分を1リットル中最大 0.2mg 含む海外産ビールで 83リットル~2万リットルに相当する。
寺尾教授は「実験では約20日間、大量に与えたが、人間の場合、過剰摂取は必要ない。長期にわたる習慣的なビール摂取でも、筋肉の老化防止効果が期待できる」とし、プレニル化フラボノイドを豊富に含む健康飲料や薬の開発が期待できると話している。
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