Dow Chemical、合理化策発表、愛知県のエポキシ工場閉鎖、リチウムイオン電池JVも評価減

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Dow Chemical は10月23日、第3四半期の決算を発表するとともに、マクロ経済成長の低迷が続くなかで、コスト削減措置を加速させ、同社の変身を次の段階へ進めるための合理化計画を発表した。

1ー9月の実績は以下の通りで、売上高は欧州の減が大きい。(単位:百万ドル)
損益面では、農業科学を除き、全部門が前年比マイナスとなっている。

  Sales   EBITDA
2011/1-9 2012/1-9 増 減 2011/1-9 2012/1-9 増 減
Electronic & Functional Materials 3,536 3,383 -153 850 803 -47
Coating & Infrastructure Solutions 5,639 5,321 -318 990 787 -203
Agricultural Science 4,311 4,816 505 768 821 53
Performance Materials 11,097 10,253 -844 1,523 1,173 -350
Performance Plastics 12,598 10,802 -1,796 2,773 2,215 -558
Feedstocks & Energy 8,456 8,113 -343 765 532 -233
Corporate 251 181 -70 -1,296 -865 431
Total 45,888 42,869 -3,019 6,373 5,466 -907
 
Net Income 2,422 1,588 -834


Dowは本年4月2日に欧州経済の不振に対応するため、合理化策を発表した。
欧州、北米、ラテンアメリカでいくつかの工場を閉鎖するとともに、設備投資の削減、900人の人員減を行うもので、年間250百万ドルの効果を狙い、特別損失として350百万ドルを見込んだ。

ポルトガル、ハンガリー、イリノイ州のSTYROFOAM断熱材製造工場を閉鎖、オランダの同工場を休止
ブラジルのTDI工場を閉鎖
ポリウレタン、エポキシ事業のいくつかの工場の統合

今回は更に合理化を進めるもので、主な内容は以下の通り。

人員削減 ネットで約2400人(全世界の従業員の5%)
約20の工場の閉鎖

以上によるコスト削減は年間500百万ドル(2014年末時点)

これに対応し、第4四半期に1株当たり50-60セントの特別損失を計上する。
(資産除却、評価減、退職金、その他)

更に、環境変化により最早優先度を持たない事業について、投資及び設備投資の削減(約500百万ドル)を実施する。

Andrew N. Liveris CEOは以下の通り述べている。

現実として、当社は短期的には低成長の環境下で事業を行っており、これらの措置は困難であるが、とりわけヨーロッパにおいて事業運営をしっかりと行い、現在の市場における変化の影響を緩和しようとする当社の決意を表している。

当社は今年初め、コストを削減し当社の利益の成長軌道を確保するために当社が実行を計画している、特定の措置を発表した。本日当社が発表する措置は、効率性を向上させ当社の成長プログラムの優先順位を決定するための次の段階を表している。

しかし、Liveris CEOは、同社の将来にとり重要のプロジェクトについては継続することを強調した。

重要なのは、例えば、Dow AgroSciences、Dow Electronic Materials ならびにSaudi Aramcoとの石化JVのSadara 計画やシェールガスを利用するU.S. Gulf Coastでの投資など、この環境下においても差別化を行うだけの価値があり、利益拡大の機会が明確であれば、当社はプロジェクトに対する資金の供給を継続していくということである。

全体としてみると、ダウの戦略は依然として損なわれておらず、当社の長期的な成長のためのファンダメンタルズは力強い。

今回閉鎖する工場は以下の通り。

 ベルギーTessenderloのHDPE工場
 オランダ Delfzijl の水素化ホウ素ナトリウム工場
 ミシガン州Midlandのディーゼル微粒子除去フィルター工場
 スペイン、英国、オハイオ州のFormulated Systems 製造工場
 愛知県衣浦のエポキシ工場
 
これに加え、
 リチウムイオン電池に対する世界的な需要の減少を反映して、Dow Kokam LLCの資産の評価減
 含酸素溶剤事業の一定の資産を統合
 多くのその他の小規模な製造施設を閉鎖


他方、同社は10月24日にGulf Coast(立地選考中)でワールドスケールの最新鋭のメタロセンEPDMを建設すると発表した。2016年の稼働を目指す。Gulf Coastでのエチレン、プロピレン増設に対応するもの。

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ダウケミカル日本の愛知県半田市の衣浦工場は1984年に生産を開始した。
現在の能力はエポキシ液状樹脂が22千トン、固形樹脂が20千トンとなっている。

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Dow Kokamはリチウム電池の製造のためのJV。

JVは2009年に、投資会社Townsend Venturesの子会社の TK Advanced BatteryとDowのJVとして設立され、Townsendが出資する韓国のリチウム電池メーカーのKokam Co の技術を導入した。
その後2010年1月に、フランスのGroupe Industrial Marcel Dassaultが参加し、電池パック子会社のSociete de Vehicules ElectriquesをJVに加えた。

現在、ミシガン州Midland、ミズーリ州Lee's Summit と フランスのLe Bouchet に工場を持つ。

2009年2月にObama 大統領は7,970億ドルの景気対策法案(Stimulus Plan)にサインしたが、この中には、電池製造支援として、米国での先進的な電池や自動車用電池メーカーへの補助金として20億ドルが含まれている。

2009年5月、Dow Kokamは161百万ドルの補助金を受けた。

2009/5/27 ダウ、ミシガン州にリチウム電池工場




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