中国国務院は10月24日、温家宝首相の下で常務会議を開き、「エネルギー発展第12次5カ年計画」(2011-15年)を決定した。
合わせて、原子力発電に関する2つの計画、The national plan for
nuclear power security (2011-20) と Nuclear power development (2011-20)
を発表した。
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中国は福島第1原発の事故を深刻に受け止め、原発や関連施設の安全検査を実施し、この間はエネルギー政策における原発の位置づけを再検討するため、原発新設の審査などを見合わせていた。
また、沿海部で建設中の原発27カ所は、昨年3月に工事が中断され、安全性の点検作業が行われている。
(うち、浙江省泰山第2原発の4号機については、2012年に稼働したとされる。この結果、現在稼働中は15基、建設中は26基となっている。)
国務院の温家宝総理は5月31日に国務院常務会議を開催し、全国の民間利用の原子力設備の総合的安全検査の情況報告を改めて聴取するとともに、「原子力安全プラン」を審議し原則として可決した。
2012/6/29 中国政府、原発新設を再開
今回、検査の結果、中国の原発は安全だと確認できたとしている。
過去20年間の操業で、Level 2 以上の事故を起こしていない。
操業上の指標は世界平均以上で、いくつかは世界トップレベルである。
中国は、発電所の計画、立地選択、設計、建設、操業の全プロセスで「安全第一」の原則を採っている。
安全管理監督と放射能環境管理を強化している。
今後も技術開発に投資、最新の技術を採用、機器を改良、教育に注力する。2015年までに原発能力を40百万kwに増やす。
今回の決定を受け、建設中の原発26基は工事が再開される見通し。
但し、計画中の原発については、建設認可基準を厳格化し、「建設ペースを合理的に調節し、段階的に推進していく」としている。
原発の新設は第3世代の安全基準を満たす場合のみ建設を認める。
また、万一の際に被害が拡大する恐れ(水の汚染等)がある内陸部には2015年まで原発を建設しないことを決めた。
安徽省、湖北省、江西省、湖南省、浙江省、広東省などに内陸部の計画がある。
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「エネルギー発展第12次5カ年計画」(2011-15年) の内容は以下の通り。
全文(英語):http://english.gov.cn/official/2012-10/24/content_2250497.htm
中国はエネルギー問題に対応するため、今後、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマスなどの再生可能エネルギー、クリーンエネルギーの利用を促進していく方針を示している。
具体的目標としては、第12次5カ年計画(2011―2015年)の終了する2015年までに、エネルギー消費に非化石エネルギー消費の占める割合を、11.4%にまで引き上げる
。
現状(2011) | 2015 | |
水力 | 230百万kw 世界一 | 290百万kw |
原子力 | 稼働中 15基 12.54百万kw 建設中 26基 29.24百万kw 全エネルギーの1.8% (世界平均は14%) |
40百万kw |
風力 | 47百万kw 世界一 | 100百万kw |
太陽光 | 3百万kw 温水暖房 2億平方マイル |
21百万kw 4億平方マイル |
その他 | バイオガス、地熱、潮力その他 | 同左 |
非化石合計 | 全エネルギーの8% | 11.4% |
GDP当たりのエネルギー消費を2010年比で16%減らす。
GDP当たりのCO2排出を2010年比で17%減らす。
中国政府はこれまで、2020年までに非化石燃料の割合を15%とし、GDP当たりのCO2排出を2005年比で40-45%減らすとの公約をしている。
この達成のため、引き続き努力するとしている。
現在稼働中と建設中の原発は以下の通り。
稼働中 15基
|
建設中 26基
千KW |
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広東省 | 陽江 | 1,080x4 |
浙江省 | 三門 | 1,250x2 |
海南省 | 昌江 | 650x2 |
広西省 | 防城港 | 1,080x2 |
浙江省 | 方家山 | 1,080x2 |
福建省 | 福清 | 1,080x2 |
山東省 | 海陽 | 1,250x2 |
遼寧省 | 紅沿河 | 1,080x4 |
福建省 | 寧徳 | 1,080x4 |
広東省 | 台山 | 1,770x2 |
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