Glencore とXstrataの合併

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スイスの商品取引大手Glencoreと鉱山大手Xstrataは11月20日、それぞれ株主総会を開き、合併案を承認した。

合併により、世界第4位の鉱山会社が誕生する。

Glencore Internationalは2012年2月7日、同国の資源大手Xstrataを260億ポンドで買収し、対等合併すると発表した。
新会社の社名はGlencore Xstrata International PLCとなる。

しかし、Xstrataの株主のカタールの政府系ファンド Qatar Holding (12%出資)などが合併条件の見直しを求め、7月中の株主総会承認は難しくなった。

Glencoreは9月7日、Xstrataの買収案を引き上げた。Xstrata株主に割り当てるGlencoreの新株数を2.8株から3.05株に引き上げた。
Glencoreはまた、株主による承認を得やすくするため、合意の仕組みを変更する可能性についても提案した。

2012/2/9  スイスの資源会社Glencore InternationalとXstrataが合併

Glencoreの株主総会は99.4%の賛成で合併を決議、Xstrataも約79%が賛成した。

Glencoreは既にXstrataの株式の34% を保有しており、残りの購入価額は約320億ドルとなる。

ただ、Xstrata総会は鉱山の経験が深いXstrataの経営トップを残留させるための2億ドル以上の報酬案を否決、統合新会社Glencore Xstrataの会長に就任する予定だったGlencore のJohn Bond会長は、「経営陣が出した議案がことごとく否決された」ことを理由に辞任した。

報酬案の否決により、これを受け取る予定であった約70人のXstrataの管理職が残留するかどうかが問題となる。


残る合併のハードルは独禁当局の承認で、EU、中国、南アの承認がキイとなる。

そのEUは11月22日、合併を承認した。

EUと欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の最大の懸念は亜鉛であった。
Glencore とXstrataはともに亜鉛に強く、合併すれば欧州でのシェアが80%近くになる。

このため、Glencoreは同社が7.8%出資するNyrstarが欧州で生産する亜鉛をGlencoreが販売する契約(年間35万トン程度、2011年に2018年まで延長された)の破棄と、同社株の売却を提案した。これにより合併会社の欧州での亜鉛のシェアは40%以下に半減する。

Glencoreは又、Nyrstarから直接、間接を問わず10年間は亜鉛を購入しないことと、その期間、Nyrstarが欧州でGlencoreと競合することを制限するいかなる行為も行わないことを約束した。

EUはこれにより、GlencoreとXstrataの合併後に亜鉛価格を引き上げるとの競争法上の懸念がなくなったとし、承認した。

Nyrstarはオーストラリアの亜鉛大手Zinifex(現在はOZ Minerals)とベルギーのUmicoreが2007年に亜鉛の製錬・合金部門を統合して設立した世界最大級の亜鉛・鉛製錬企業で、欧州、北米、オーストラリア、中国で事業展開している。

OZ MineralsはNyrstarの株式をGlencoreに売却した。Nyrstarの残る主要株主はUmicore。

このEUの決定は甘いとの見方がされている。当初はXstrataのドイツのNordenham亜鉛精錬工場か、世界最大のスペインのSan Juan de Nieva工場の売却を求められるのではないかとされていた。

 

残るハードルは中国と南アの独禁当局の承認である。



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