住商のレアアース合弁、カザフに精製工場完成

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カザフスタン北部アクモラ州 Stepnogorskで11月2日、住友商事が出資した合弁企業 Summit Atom Rare Earth Companyによるレアアースの分離精製プラントの開所式が行われた。

JVにはカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが51%、住友商事49%出資する。

30百万ドルを投じたプラントで、年産1,500トンのレアアース酸化物を生産する。
ウラン残土からレアアースを回収するもので、ジスプロシウムなど、特に希少性が高い重レアアースを中心に生産する。

試験稼働を経て来年1月にも対日輸出が始まる。

Kazatompromによると、JVは住友商事、信越化学、フランスのRhodiaの3社と販売契約を締結した。

Kazatompromは、2015年までに能力を倍増して 3,000とすると発表している。
2017年までに能力を5,000 ~ 6,000 トンにしたいとしている。

開所式には近藤洋介・経済産業副大臣やカザフ政府高官ら約200人が出席。近藤副大臣は「このプロジェクトは日本とカザフの協力の象徴的なものだ」と語った。


 

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2006年初にカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが65%、住友商事が25%、関西電力が10%出資し、合弁企業APPAK LLPが設立された。

2008年6月3日、南カザフスタン州スザク地区にあるウェストムィンクドゥック鉱床の原位置抽出法によるウラン鉱山が開所した。

APPAK LLPはウラン精鉱の引渡しを2008年に開始し、2010年までに毎年1,000メトリックトンウランのフル生産を開始することを計画、見込まれている鉱山寿命は22年、総生産量は 18,000メトリックトンの計画。

2009年8月、住友商事は、Kazatompromとウラン鉱石残渣からレアアースを回収する事業に合意した。
両社が協力してカザフスタン国内に存在する残渣からの回収事業を独占的に行い、新たなレアアース資源ソースの確立に乗り出す。

2010年3月、両社は公社51%、住友商事49%出資で合弁会社 Summit Atom Rare Earth Company を設立した。
具体的には、Kazatomprom傘下のウルバ冶金工場の既存設備を活用して、ウラン鉱石残渣からのレアアース混合物の回収事業を立ち上げる。

この事業は、既存の残渣からレアアースを回収するため、新規に鉱山開発を行う場合と比較して、
(1)短期間での生産開始が可能、
(2)環境負荷が低い、
(3)開発コストが低減できるなど、
数多くのメリットがある。

経済産業省、資源エネルギー庁、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の支援も受けることが決定した。

また、京都大学との産学連携で、採取したレアアースの応用研究を進めることも決定しており、将来的には生産したレアアースを使った高付加価値品の製造までを、カザフスタン国内で行う一貫体制の構築も目指している。

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東芝も、2007年8月、原子力事業強化の一環として、カザフスタンのKazatomprom社が南カザフスタンで推進しているウラン鉱山開発プロジェクト(ハラサン鉱山プロジェクト)に参画することを決定した。

丸紅、東京電力、中部電力、東北電力が権益の一部を有する持株会社を保有し、同鉱区で生産されるウラン精鉱のうち、合計で2,000トン(MTU)/年の ウラン引き取り権を取得しているが、東芝は同持株会社の株式の22.5%を取得するとともに、最大600トン(MTU)/年の引き取り権を取得した。

東芝は2011年9月29日、Kazatompromとの間でアスタナ市にレアメタル分野に関する合弁会社であるKT Rare Metalsを設立したと発表した。

出資比率は、Kazatompromが51%、東芝が49%で、事業内容は以下の通り。

 ・ニオブ、ベリリウム応用製品、タンタル材の販売
 ・ニオブ、タンタル、ベリリウムを応用した新製品に関する製品開発
 ・ウラン鉱山から副産物であるレニウム、レアアース等の回収・販売に関する事業検討
 ・カザフスタン国内における新規供給源探査の検討

また同社は2010年11月、ウランを抽出した後の溶液からレアアース・レアメタルを回収する技術を開発し、カザフスタン共和国で実証試験を実施すると発表した。

ウラン抽出尾液からレニウム、ジスプロシウム、ネオジムを電解法によってそれぞれを分離して回収する技術を開発し、カザフスタンに試験装置を設置して実証実験を行う。

まずウラン抽出尾液からレニウムを回収し、その残渣液からジスプロシウム、ネオジムを溶融塩電解法により回収する。



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