EUは12月5日、テレビやコンピューターモニター用ののブラウン管(CRT)について、1996年から2006年までの10年にわたり価格カルテルを結んだとして、パナソニックや東芝を含む6社に対し、過去最高となる総額14億7000万ユーロの制裁金を科した。
減免率 |
制裁金(千ユーロ) |
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TV用 | モニター用 | 合計 | ||
台湾・中華映管(Chunghwa) | 100% | 0 (8,385) |
0 (8,594) |
0 (16,979) |
Samsung SDI | 40% | 81,424 | 69,418 | 150,842 |
Philips | 30% | 240,171 | 73,185 | 313,356 |
LG Electronics | 0% | 179,061 | 116,536 | 295,597 |
Philips/LG Electronics |
30% (Philips分) |
322,892 | 69,048 | 391,940 |
フランス Technicolor | 10% | 38,631 | - | 38,631 |
パナソニック | 0% | 157,478 | - | 157,478 |
東芝 | 0% | 28,048 | - | 28,048 |
パナソニック/東芝/松下東芝映像ディスプレイ | 0% | 86,738 | - | 86,738 |
パナソニック/MT映像ディスプレイ | 0% | 7,885 | - | 7,885 |
合計 | 1,142,328 | 328,187 | 1,470,515 |
注1.中華映管の(制裁金)は減免がない場合のもの
注2.PhilipsとLG
Electronicsは2001年に両社のブラウン管事業を分離し、LG. Philips Displaysを設立、
2007年にLP Displaysに改称。
注3. 松下電器産業と東芝はブラウン管事業を統合、2003年4月に松下東芝映像ディスプレイを設立、
2006年にドイツとアメリカの子会社での生産を停止し、
清算。
2007年に松下が東芝持株(35.5%)を買い取り、完全子会社化し、MT映像ディスプレイに改称。
東芝は、欧州競争法に違反する行為を行っていないとし、今後裁判で争う方針としている。
パナソニックは、事実認定や法令適用に疑義あり、提訴も視野に検討するとしている。
EU発表によると、これら2つのカルテルは最も組織的なカルテルで、過去10年にわたり、価格操作、市場分割、顧客割当、能力や生産量の調整、秘密情報の交換など、最も悪質であらゆる種類の反競争的行為を行った。
また、工場訪問で能力規制を守っているかどうかをチェックするなどもしていた。
ゴルフの後で行うために
"green meetings"と呼ばれるトップレベルの会合を開き、方向付けを行っていた。
詳細については下部組織が "glass meetings"で決めていた。
法律に違反していることを認識し、没収された資料には、「秘密厳守、需要家やEUにばれると重大な被害を生じる」と記載されていた。「読後破棄」と書かれた書類もあった。
現在ではブラウン管は液晶パネルに切り替わっている。
中国国有のテレビ用ブラウン管大手、彩虹顕示器件(陝西省)は中国の大手企業で唯一、ブラウン管製造を続けていたが、同社も10月にブラウン管生産から撤退した。
制裁金合計1,470,5百万ユーロは過去最高。
過去の制裁金 順位 | ||||||||||||||||||
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なお、カルテル以外では、EUは2009年5月13日、米Intelが、CPU市場での独占的な地位を悪用し欧州独占禁止法に違反したとして、1,060百ユーロの制裁金支払いを命じている。
1社に対する制裁金としては、Microsoftに対する899百万ユーロ(後にEU裁判所が860百万ユーロに減額)を上回る過去最高金額となった。
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