EUの欧州議会は12月11日、単一特許制度を承認した。特許取得の費用軽減や手続き簡略化が狙い。
30年以上にわたる議論の末の合意で、2014年に導入するが、 イタリアとスペインは参加を見合わせ、両国を除く25カ国での発足となる。
発明者は欧州特許庁(European Patent Organisation)に申請し、認められると参加25か国で有効となる。
英語、ドイツ語、フランス語のいずれかで申請する。多国語の申請の場合、3か国語のいずれかの翻訳を付ける。
イタリアとスペインは、両国語が採用されなかったことに抗議し、参加を見合わせた。施行までに参加する可能性はある。
単一特許制度は2014年1月1日に発効する。
統一特許裁判所は妥協の産物として、本部をパリに、支所をロンドンとミュンヘンに置くこととなった。
EUの責任者は、「イノベーションのためのR&Dと投資を促進し、EUの成長を高める助けとなる」、「知的財産は国境で止まってはいけない。この決定はEU経済、とりわけEUの中小企業にとってgood
news である」としている。
中国人から、「中国は単一特許なしには単一市場にはならなかっただろう」と言われたと付言している。
現在、EUでは、国別特許と欧州特許庁で取得する各国共通の欧州特許がある。
但し、欧州特許は
欧州特許庁で審査して特許査定が出れば、各国言語に翻訳して各国で手続きする必要があり、欧州全域で権利化するには欧州特許庁の費用とは別に多額の費用がかかっていた。
また、成立した特許権の効力は各国の国内法令で定めるため、国によって異なり、また、成立した特許権の有効性については各国毎に争われる。(このため欧州特許庁が付与する特許は、「国内特許の束」と言われる。)
新しい単一特許制度では、欧州特許を25カ国で登録する手続きを一本化するほか、特許専門の裁判所を設け、EU各国の訴訟を集約する。
EUでは、典型的な例で、これまでの費用 36,000ユーロ(46,800ドル)が4,725ユーロ(6,140ドル)になるとし、米国と日本との競争力が高まるとしている。(AP通信によると、米国は2,300ドル、中国は800ドル)
単一特許制度についてのQ&A
http://www.europarl.europa.eu/news/en/pressroom/content/20121205BKG57397/html/The-new-EU-unitary-patent-QA
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