韓国関税庁は12月4日、「韓米及び韓EU間FTA発効後の輸出入をめぐる動向」と題した報告書を発表した。
世界的な景気低迷の中、韓米、韓EUの自由貿易協定(FTA)が韓国経済を下支えていることがわかった。
輸出が低迷している中、米国向け輸出はかえって伸びており、EU向け輸出も、関税恩恵品目を中心に善戦している。
1)米国
韓米FTAは2012年3月15日に発効した。
2012/3/15 韓米FTA発効
内容は、当初 2007/4/4 米韓FTA妥結、
自動車関連修正 2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結
それ以降、11月30日までの米国向け輸出額は373億ドルで、前年同期より2.1%伸びた。
この間、韓国の輸出総額は3500億ドルで、3.4%減となっている。
FTA恩恵品目(関税引き下げ&撤廃)の輸出は12.9%伸びた。
品目別には、自動車部品(+15%)、タイヤ・ゴムベルトなどゴム製品(+14%)、石油製品(+8%)の伸びが大きい。
自動車部品は2.5~4%の関税が即時撤廃された。
なお、乗用車は5年目まで2.5%の現行関税を維持。(電気自動車・ハイブリッドは8%から4%に引き下げ。)石油製品は1バレル当たり平均52.5セントの関税が即時撤廃された。ジェット燃料の増が大きい。
ほかに繊維類も平均10.1%が即時撤廃された。
FTA利用率(相手国に対する総輸出額に占めるFTA税率で取引された輸出額)は66%となった。
韓インド(17.7%)、韓ASEAN(3.5%)間FTAの発効後1年間の利用率よりはるかに高い。
米国からの輸入は271億ドルで6.2%減少した。
恩恵品目はオレンジ(+32.4%)、クルミ(+50.1%)、アーモンド(+71.1%)などの食料品を中心に2.8%増えたが、恩恵を受けなかった品目の輸入は13.9%減少した。
なお、米上院合同経済委員会は9月に、韓米FTA発効以来、米国の対韓貿易赤字がさらに拡大したという報告書を出した。
米商務省の統計によると、3月に6億ドルだった米国の対韓貿易赤字は、韓米FTA発効後、4月17.7億ドル、6月11.3億ドル、7月19億ドルと大きく膨らんだ。「まだ評価するのは早いが、韓米FTA後も統計上で韓国産の輸入が増えている一方、韓国への輸出は減っている」としている。
2)EU
韓EUのFTAは2011年7月1日に発効した。
2010/10/12 韓国とEU、自由貿易協定締結
昨年7月1日から本年11月30日までの韓国のEU向け輸出は、 欧州財政危機を受け、前年同期比10.2%減の672億1000万ドルとなったが、FTA恩恵品目の輸出額は計358億8000万ドルで、10.9%の増となった。
品目別には、石油製品(+17.0%)、自動車(+15.2%)、自動車部品(+6.6%)の伸び幅が大きかった。
工業製品関税については、原則 5年間で関税を完全撤廃。
自動車部品は協定発効と同時に関税を撤廃、
中大型乗用車は3年、小型自動車は5年内に段階的に撤廃。石油製品は3.7~4.7%の関税が直ちに撤廃された。ジェット燃料油が大幅増。
一方、半導体(-43.2%)、船舶(-39.7%)、無線通信機器(-24.2%)など、FTAの恩恵を受けない品目の輸出額は26.2%も減少した。
FTA利用率は80.8%と高いレベルにある。
輸入品でも、FTAの恩恵を受けた品目とそうでない品目の差は顕著となった。
恩恵を受けた品目の輸入増加率は14.8%で、恩恵を受けない品目は2.4%増であった。
石油製品(+148.5%)、かばん(+28.5%)、靴(+23.5%)、時計(+37.5%)が大幅な増加となった。
EUからの原油輸入額は29億2000万ドルと36.5倍増加した。
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米国向け、EU向けともに、石油製品が入っている。
韓国の石油元売り業界によると、1~11月の石油製品輸出額は517億ドルで、半導体(461億ドル)、自動車(430億ドル)などを制して輸出額1位を記録している。
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