シノペックの武漢エチレン計画が完成

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シノペック武漢化学の80万トンエチレン計画が昨年末に完成した。2012年12月29日の新華社通信が報じた。

立地は湖北省武漢市の揚子江沿岸で、5年をかけて建設した。

シノペック武漢化学は1971年に設立され、1977年に年産能力500万トンの原油処理能力の製油所が稼働した。

この計画は2007年初めに承認を得て、同年12月に建設を開始したもので、製油所能力を800万トンに拡大し、次の石化プラントを新設する。

 エチレン   800 千トン
 LLDPE   300  
 HDPE   300  
 EG   300  
 PP    400  
 BTX   400  
 ブタジエン   120  


2007/4/9 中国、湖北省武漢市のエチレン計画を承認

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2008年5月に韓国のSK化学がこの計画に35%の出資をすることで合意した。

2008/6/2  韓国SK Energy、シノペックの武漢エチレン計画に出資

しかし、2009年4月に、SKは、当時の経済危機のなかで十分な資金がないとして、この投資を延期することを明らかにした。
但し、撤退の考えはなく、当初の構想どおり、エチレン計画に35%の出資をする予定とした。

その後、この件についての進展はなく、シノペック単独で完成させた。

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中国の2011年末のエチレン能力は15,510千トンであった。

2012年には、PetroChina 大慶石化が600千トンの増設を行って能力を倍増した。
続いて
PetroChina 撫順石化が800千トンの増設を行い、能力を約100万トンとした。
更に
PetroChina 四川石化が四川省彭州市にエチレン80万トンの彭州石化を建設中で2012年の年末に完成したと見られている(未確認)。

今回の大慶石化の増設を含めると、300万トンの増設となる。

中国のエチレン能力(単位:千トン)

    2011
年末
能力
2012
完成
PetroChina 大慶石化 黒竜江省 600 +600
PetroChina 吉林石化 吉林省 850  
華錦集団(盤錦エチレン) 遼寧省 620  
PetroChina 遼陽石化 遼寧省 200  
PetroChina 撫順石化 遼寧省 150 +800
PetroChina 彭州石化 四川省 800
Sinopec 北京東方化工 北京市 150  
Sinopec 燕山石化 北京市 710  
Sinopec 天津石化 天津市 200  
Sinopec 斎魯石化 山東省 840  
Sinopec 揚子石化 南京市 650  
Sinopec 上海石化 上海市 850  
Sinopec 広州エチレン 広東省 200  
Sinopec 茂名石化 広東省 1,020  
Sinopec 中原石化 河南省 280  
Sinopec 武漢化学 湖北省 800
PetroChina 蘭州化学 甘粛省 690  
PetroChina 新疆独山子 新疆自治区 1,220  
瀋陽化工 (残渣油から*) 遼寧省 300  
YPC-BASF 江蘇省 740  
SECCO 上海市 1,190  
CNOOC-Shell 広東省 950  
福建連合石油化工 福建省 800  
Sinopec SABIC (Tianjin) 天津市 1,000  
Sinopec 鎮海煉油 浙江省 1,000  
神華包頭石炭化学
(Coal-to-Olefin)
内蒙古自治区 300  
合計 15,510 +3,000


* 瀋陽化工

藍星集団の子会社、瀋陽化工は2010年に遼寧省の瀋陽でエチレンプラントをスタートした。

独自の技術を使用し、50万トンの残渣油を熱分解して12万トンのエチレンを生産する。(その後、300千トンに)

瀋陽化工は、中国最大のペースト塩ビのメーカーで、エチレンは全量、塩ビ用に使われる。
併産するプロピレンは、同社が三菱化学からライセンスを受けて建設した
アクリル酸(8万トン)及びアクリル酸エステル(12万トン)用に使用される。
 

 

 

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