Rio Tintoは1月17日、2012年の実績で約140億米ドル(税引後)の評価損を計上する見込みと発表した。最終数値は2月14日の決算発表時に明らかにする。
内訳は以下の通り。
・Rio Tinto Coal Mozambique 30億米ドル
・アルミ関連(主としてRio Tinto Alcan、他に Pacific Aluminium )100~110億米ドル
・その他 5億米ドル
同社のCEOのTom Albanese は引責辞任する。
取締役会は、特に最近取得したMozambiqueでの大規模な評価損は受け入れがたいとし、世界的に状況が悪化しているとはいえ、アルミ事業で更に評価損を計上することに失望したとしている。
同社は2011年決算でアルミ関連で89億米ドルの評価減をしており、これに追加する形となる。
1)Rio Tinto Coal Mozambique
Rio Tintoは2010年12月に豪州のRiversdale MiningのTOBを開始し、2011年6月にタタ製鉄が保有する26.28%を取得することで株式の99.74%を獲得した。取得価額は39億豪ドル(約3600億円)であった。
RiversdaleはMozambiqueのTete州のMoatize 盆地で二つの石炭鉱山 Benga鉱山とZambeze鉱山の開発を行っており、Rio Tintoはこのプロジェクトを取得した。
Benga鉱山は年産10百万トン、Zambeze鉱山は25百万トンを予定、Valeが同じTete州で操業中のMoatize炭鉱(年産25百万トン)と並ぶ大規模プロジェクトである。
問題はTete州が内陸にあり、港までどうやって輸送するかである。
ValeはBeiraまで鉄道輸送しているが、運搬能力は少なく、Beira港は整備されていない。
天然の良港のNacala港のターミナルと鉄道を建設中だが、完成は2015年になる。Rio Tintoはザンベジ川をバージで下り、河口で大型船に積み替える計画を立てたが、政府がこれを認めなかった。また、川を浚渫する必要もあるとされる。
さらに、両鉱山の埋蔵量が当初の想定よりも少なかったと報道されている。
この結果、Rio Tintoは2011年に39億豪ドル(約41億米ドル)で取得したRio Tinto Coal Mozambiqueについて30億米ドルの評価損を計上することとなった。
2)アルミ関連
Rio Tintoは2007年、カナダのアルミ大手、Alcanを381億ドルで買収することで合意したと発表した。
両社のアルミ部門を統合し「Rio Tinto Alcan」を設立した。両社のアルミ地金生産量は合計で430万トン強に達し、統合後は世界首位に躍り出た。
2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に
しかし、直後に金融危機が発生し、アルミ価格の低下と需要の伸び悩みに直面した。
同社は2011年10月17日にアルミグループの再編を発表、豪州とニュージーランドのアルミ関連事業を売却対象とし、売却までの間はPacific
Aluminiumという新部門に移し、Rio Tinto Alcanと別管理することとした。
なお、米、仏、独の7つの非コア事業については、Rio Tinto Alcanが管理するが、売却の検討も行う。
豪州:Gove ボーキサイト鉱山とアルミナ製錬所
Boyne アルミ精錬所と付属のGladstone発電所 :日本の各社が出資
Tomago アルミ精錬所
Bell Bay アルミ精錬所
NZ :New Zealand Aluminiumアルミ製錬所(NZAS):住友化学とのJV
同社は2011年決算でアルミ関連で89億米ドルの評価減を行ったが、今回、これに追加する形で100~110億米ドルの評価損を行う。
主としてRio Tinto Alcanの事業だが、Pacific Aluminium についても評価減する。
同社の2012年の生産量は以下の通り。(千トン)
アルミナ アルミ Rio Tinto Alcan 6,968 2,174 Pacific Aluminium 2,742 1,063 その他 331 220 合計 10,041 3,456
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