Transocean 、Deepwater Horizon 事故で罰金14億ドル支払い

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米司法省は1月3日、世界最大の海洋掘削会社であるスイスのTransoceanが、Deepwater Horizon 事故で罪を認め、14億ドルの罰金を支払うことで合意したと発表した。
Transoceanも同様の発表を行った。

Transoceanは事故を起こしたリグの所有者であるとともに、掘削作業のコントラクターである。

コントラクターは他に2社がある。 
 
Halliburton:セメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)
 
M-I SWACODrilling Fluid (mud)サービス

1)刑事上の罰金

Transocean は、BPのリーダーの下でリグで働いていた同社の作業員が、井戸が安全でなく、原油やガスが井戸に流れ込んでいるとの明確な兆候があるのに十分調査しなかった過失を認めた。

これに対する司法取引で、同社は刑事上の罰金4億ドルを支払う。

このうち、1億ドルの罰金を60日以内に支払う。
他に、1億5千万ドルを5年分割でNational Academy of Sciencesに、1億5千万ドルを3年分割でNational Fish and Wildlife Foundationに支払う。
前者はメキシコ湾での原油流出事故防止と対策のために、後者は自然の復活、沿岸の生態回復のために使われる。

2)民事上の罰金

同社は又、3か月に及ぶ大量の原油流出に関し、Clean Water Act での民事上の司法取引で 10億ドルを支払う。
合わせて、米国の領海で稼働するすべての掘削リグで安全策と緊急時の措置の改善を義務付けられた。

合計14億ドルの支払いは下記の通りの分割で行われる。

2013年 560百万ドル
2014年 460
2015年 260
2016年  60
2017年     60

ーーー

Transocean は、今回の米政府との合意以外に、原油流出で経済および健康上の被害を被ったと主張する10万人以上の個人や企業オーナーを代表する原告委員会と交渉している。
UBSのアナリストは、Transoceanの最終的な負担は40億ドル以上に達すると推測している。

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事故を起こした鉱区の権益保有者についての現状は以下の通り。

1)BP(権益65%、Operator)

   刑事訴訟:罰金 4,525百万ドル
        
2012/11/17  BP、Deepwater Horizon事故に関する米政府の全ての刑事訴訟で和解


   Clean Water Actによる民事訴訟:未定
      流出量
500万バレルの場合、過失なしで55億ドルと過失有では215億ドルとなる。

   一般民事訴訟:総額 約78億ドル
        2012/3/5 BP、メキシコ湾岸原油流出事故で漁業関係者などと和解

2)Anadarko (権益 25%)

   Clean Water Actによる民事訴訟:未定

          その他:BPが肩代わり(BPに40億ドル支払)
        2011/10/19   BP、メキシコ湾原油流出事故でAnadarko Petroleum と和解

3)三井石油開発(権益10%)

   Clean Water Actによる民事訴訟:罰金70百万ドル、土地買収等の費用20百万ドル
        2012/2/20  メキシコ湾原油流出事故で三井石油開発が米政府と和解  

          その他:BPが肩代わり(BPに
106500万ドル支払)
        
2011/5/20 BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解 
 


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