出光興産とAltaGas、カナダ産LNG、LPGのアジア向け輸出共同事業でパートナーシップを締結

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出光興産とAltaGasは、カナダ産のLNGとLPGのアジア向け輸出・販売の共同事業に関する可能性を調査するため、50/50の合弁会社とパートナーシップを設立することに合意した。出光興産が1月29日に発表した。

両社は、天然ガスの液化設備をカナダ西海岸に建設することについてFSを実施し、2014 年完了を目指す。
天然ガスの輸送は、AltaGas子会社のPacific Northern Gasのパイプラインを利用する。
許認可の承認、液化設備の完成を踏まえ、早ければ2017 年のLNG輸出・販売を目指す。

天然ガスは市場から調達するが、権益を持つ企業からの直接購入も検討する。年間の輸出量は200万トン程度を見込んでいる。

合わせてLPG の輸出・販売についても、冷凍・液化設備、販路などについて共同調査を行う。
早ければ2016 年にも
年間60~70万トンのLPG の輸出・販売を目指す。

  合弁会社 リミテッド
 パートナーシップ
業務 事業の意思決定 事業の遂行
社名 AltaGas Idemitsu Management AltaGas Idemitsu
Joint Venture Limited Partnership
出資
出光   50%
AltaGas   50%
   
AltaGas Idemitsu
    Management
   0.01%
出光 49.995%
AltaGas 49.995%


カナダの場合は米国と異なり、LNGの輸出制限の動きはない。

日本向けLNG運賃は以下の通りで、米国Gulf Coastの場合の半分で、豪州からとほぼ同じである。

  Kitimat(カナダ西海岸)   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast        2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
         
  Gordon(豪)   1.17  
  Gladstone(豪)   1.21  
  Ichthys(豪)   1.23  
    資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25  

 

カナダ西海岸ではアジア向けLNG輸出を狙って、多くの計画がある。

1)Pacific Northern Gasのパイプライン(稼働中)

AltaGas子会社のPacific Northern GasのパイプラインはSummit LakeとPrince Rupert 港を結んでおり、途中で分かれてKitimat港にも通じている。

Summit Lake ではSpectra Energy Corp のパイプラインに接続し、各シェール鉱区につながっている。

2)Kitimat LNG輸出ターミナル計画とPacific Trail Pipelines計画

これとは別に、Summit LakeからKitimat港まで直接結ぶパイプライン(Pacific Trail Pipelines )計画と、KitimatでのLNG輸出ターミナル建設の計画が進んでいる。

この計画は当初、Pacific Northern GasとGalveston LNGが始めたが、その後出資者の異動があり、2012年12月にChevronがEncana とEOG (Galveston LNGを買収)から権利を買収し、Apache とChevronの50/50JVとなった。Chevronが運営する。

LNG輸出ターミナルは年産5百万トンでスタート、10百万トンまで拡張できるという。
稼働開始は2015年を予定しており、現在、Front-End Engineering and Design (FEED) の段階。
カナダ政府から年間10百万トンのLNG輸出のライセンスを受けている。

Chevron はこれに合わせて、Encana、EOG、ApacheからHorn River Basinのシェールガス田 110千エーカーの権利を、ApacheからLiard Basinのシェールガス田 212千エーカーの権利を買収した。両ガス田の権利はChevron とApache が50/50で所有することとなり、Apache が操業を担当する。

3)Shell、三菱商事等の「LNG Canada」計画 

三菱商事は2012年5月16日、シェルカナダ、韓国ガス公社(Kogas)、中国石油天然気(PetroChina)とのLNG輸出計画、「LNG Canada」構想を発表した。

4社でカナダのブリティッシュ・コロンビア州 Kitimat港周辺においてLNG輸出基地を共同開発する。
(当初の案では立地は Prince Rupert とされていた。)

権益比率   シェル   40%
三菱商事 20%
Kogas  20%
PetroChina 20%



液化設備   600万トン/年x2=1,200万トン
将来的な数量拡張の可能性
生産開始   2010年代末


2012/5/17  Shell、三菱商事等の「LNG Canada」計画

付記

カナダのNational Energy Board は2013年2月4日、この計画に輸出ライセンスを与えた。
25年間で670百万トンまでの輸出を承認。

Kitimat LNG(Apache Corp and Chevron Corp)とBC LNG Export Cooperative に次ぐもの。

4)BC LNG Export Co-Operative (BC LNG)

売り手と買い手が加入するCo-opで、現在、13社ほどが加入しているとされている。

CanadaのNational Energy Board は2012年2月、BC LNGに対し、年間180万トンのLNGを20年間輸出するライセンスを与えた。
2014年に最初の船積みをする計画。

Douglas Channelの西側にバージベースの浮体式海洋石油・ガス生産装置(FPSO)を設置するもので、90万トン/年規模を2系列つくる。
天然ガスは既存のPacific Northern Gas Pipeline や新設するPacific Trail Pipelineで輸送する。

 

カナダでの日本企業のシェールガス開発は以下を参照  

 

 

 


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