2010年7月15日、 オバマ米大統領がLG化学子会社 Compact Powerのミシガン州Hollandのリチウムイオン電池工場の起工式に出席し、祝辞を述べた。
工場は2012年稼動の予定で、A123 Systems(下記参照)及び Johnson Controls-Saft と組み、2013年末までに"Chevy Volt"ベースで6万台分を生産する予定であった。
投資額は303百万ドルで、オバマ政権から150百万ドルの補助金を受ける。
更に州税や市税などで175百万ドル以上の支援を受ける。
オバマ大統領は祝辞で、「これは新工場の建設以上を意味する。この町や州、米国の新たな未来を建設するものだ」と評価し、「この工場で数百人が働くことになり、これによって小規模な企業の基盤も確保される。こうした努力が米国経済の発展に寄与するだろう」と語った。
「米国経済は困難に直面しているが、エコカーの量産を通じて未来型の雇用を創出し、外国に対する原油依存度も減らせる」と強調した。そして、「この工場はミシガン州と米国が進む方向を示す象徴だ」と指摘した。
2010/7/17 オバマ大統領、LG化学の米工場起工式で祝辞
2013年2月13日、エネルギー省のInspector General (監察官)は以下の内容の、LG Chem とエネルギー省職員を非難する報告書を発表した。
LG Chem は、Holland工場が完成しているのに1個たりとも販売せず、GMのChevy Volt用の電池を引き続き韓国から供給している。
Holland工場の従業員は、ゲーム、映画、ボランティアなどで時間をつぶしている。エネルギー省の景気刺激のための補助金の管理が十分にされておらず、LG Chemはプロジェクトに関係のない労務費を不当に請求し、それが支払われている。
正確な損失は不明だが、従業員の証言などから、非生産作業に少なくとも160万ドルが使われ、その半額がコスト分担の取り決めにより、補助された。(エネルギー省は今回、LGに対し 842千ドルの返還を命じた。)
工場は実際に販売される電気自動車用に使う電池をまだ製造していない。
151百万ドルの補助金のうち、142百万ドルが既に払われているのに、合意された能力の60%(5ラインのうち3ライン)しか建設されていない。
LG Chem側は、契約で決められた5ラインを完成させるには政府の金が更に22百万ドル必要としている。
(枠は9百万ドルしか残っていない。)LG Chemは労務費を非常に低く見積もっていた。
補助金給付の際の書類では電池生産は2012年初めに韓国からミシガンに移るとなっているが、実施されていない。
計画でうたわれた440人の雇用の半分以下しか生まれていない。
この工場は、米国の自動車メーカーが米国で2015年までに100万台の'Made
in America'の電気自動車(ハイブリッドを含む)を売るというオバマ政権の政策のコーナーストーンである。
しかし、LG Chemはこの目標を十分認識しておらず、エネルギー省も十分な対策を取っていない。
LG Chemによると、
Chevrolet Voltの電池需要が2012年に月間平均で
1,955台分あり、ミシガンで完成している設備で十分生産出来るのに、ミシガンでの電池生産を遅らせる決定を行った。
エネルギー省によると、補助金給付の際の書類に、当初の韓国での生産からミシガンでの生産に切り替えるとの文言がなかったため、強制できないと考えたという。
電気自動車の不振も影響している。
GMは2012年に、「Volt」を5万台売るという目標を設定したが、10月までの販売台数は1万9000台に止まっている。
付記
地元紙のHolland Sentinelは社説で、残念なことではあるが、LG Chemは工場建設に自費を150百万ドル投じており、200人の従業員をレイオフせずに給料や健康保険料を支払っていると擁護している。
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既報の通り、LGと組む米リチウムイオン電池メーカーのA123 Systems, Inc が2012年10月に破産法11条の適用を申請した。
同時に、自動車関連の技術、製品、ミシガン州にある2工場、中国のcathode powder製造工場、上海汽車とのJVのShanghai Advanced Traction Battery Systemsの持分などを、自動車部品メーカーのJohnson Controls, Inc.に1億2500万ドルで売却することで合意したことを明らかにした。
同社も、オバマ政権が打ち出したGreen
New Deal 政策を通じ、2億4900万ドルの助成金を受けていた。
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