韓国SKグループ会長に懲役4年の実刑判決

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ソウル中央地裁は1月31日、株式投資によって生じた損失を補填するため、グループ会社の資金を横領した特定経済犯罪加重処罰法違反の罪に問われたSKグループ会長の崔泰源被告に対し、懲役4年の実刑判決を言い渡し、身柄を拘束した。
検察が横領事件の主犯として同時に逮捕した弟の崔再源副会長は無罪を言い渡された。

会長は2月5日に一審判決を不服として控訴した。

会長と副会長は系列会社2社(SKテレコム、SK C&C) から497億ウォン(現在のレートで約41億円)を横領した罪で、2012年1月に在宅起訴された。
2008年10月に、系列会社2社に出資金の名目で送金させた497億ウォンを、会長と副会長の先物投資を代行していた海外在住の韓国人に送金したという。

裁判所は、「崔泰源会長の個人資産を管理する組織が投資を主導した点などを見る限り、グループ会社の資金の横領は崔泰源会長が指示したものと考えられる」との結論を下し、副会長は無罪とした。

裁判長は、「崔会長が大企業の経営トップとして、経営や財務に関し透明性を確立しなければならない立場にありながら、むしろグループ会社の資金を私的に流用したことから、厳しい処罰は避けられない」と述べた。
また「2003年にSKグループ系列会社に対する背任行為などにより有罪判決を受け、赦免により復権(2008年8月)してから3カ月もたたないうちに横領行為を行った点を考慮すると、実刑判決は避けられない」と指摘した。

崔会長は2003年にSK Global の債務を減らして1兆5587億ウォンの利益を水増しするなどの粉飾決算を行い、またSKの筆頭株主としての支配権を維持するため、本人所有のウォーカーヒルホテル株とSK C&C所有のSK株を交換する際に非上場株のウォーカーヒル株を過大評価した疑いで起訴され、2008年5月に懲役3年、執行猶予5年が確定した。

会長は、系列会社の役員に毎年の賞与金を多く支給してから返却させる方法で2005~2010年に約140億ウォンの不正資金を蓄財し、私的な用途で使った容疑でも訴えられたが、これについては無罪となった。

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韓国ではこれまで、大企業のオーナーに対しては、「経済への悪影響が懸念される」、「経済発展に貢献した」といった理由で執行猶予付きの判決が下されるケースが多かった。

しかし、裁判所はこの1年間、財閥の公私混同を問題にし、「社会的責任」や「相応の処罰」を強調する傾向にある。

泰光グループの李豪鎮前会長は2012年2月、会社の資金445億ウォンを横領したとしてに懲役4年6月の実刑判決を受けた。
(検察は2012年11月の2審で、懲役7年、罰金70億ウォンを求刑している。)

ハンファ・グループの金升淵会長は2012年8月、関連会社の資金を自身の所有する会社に不正に流用し、系列会社や少数株主、債権者などに4856億ウォンの損害を負わせたとして、4年の実刑判決と罰金51億ウォンの判決を受けた。
裁判所は
「犯行によって最も利益を得る立場でありながら、実務者に責任を転嫁し、反省の態度を見せていない点を考慮すると、厳罰に処する必要性がある」と述べた。


大法院は量刑の基準として、300億ウォン以上の横領や背任罪で起訴された被告が、被害額を弁償するなど減軽の余地がある場合、懲役4-7年とするよう勧告しており、今回、SKの崔会長は横領した額を全て弁償したが、裁判所は検察の求刑通りの量刑を適用した。


SKの崔会長は今回、オーナーを中心とする経営体制を解体した。グループ会社社長団協議会の議長を専門経営者に任せたり、役員に対する人事権も社長団協議会傘下の人事委員会に譲渡した。
これまで、株式を含む自らの資産をグループの財務部門に預けて管理してきたが、自らの資産はグループ外の会社に管理を依頼する。



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