産構法30年(3) エチレン構造改善

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本年は産構法が施行されて30周年となる。
30年前をシリーズで振り返る。


1983年6月に告示された「エチレン製造業の構造改善基本計画」により、全国エチレン年産能力6,348千トンの36%に当たる同2,293千トンの設備を過剰設備として処理する目標が決まつた。

出光石化は千葉で22万トンプラント(設計能力30万トン)を建設中であったが、これも計算に含めた。

原則として設備廃棄によるものとするが休止により行なうことも妨げないものとされた。
(その場合、
当該設備の運転を不能にし、相当の期間と費用をかけないと再開が不可能となる状況にすることが求められた。)

目標の1988年6月末までの間は告示日現在建設中の出光千葉を除き、分解設備の新設、増設および改造(当該設備の更新、改良を除く)は行わないことになった。

実際には一律の設備処理には問題があるため、各社は生産受委託や非効率設備の優先処理により高効率の大型設備への集中に努力し、下記の設備処理を行った結果、処理量は2031千トン(処理 2251千トン、新設220千トン)、目標達成率は88.6%となった。

会社名 場所 設備能力
1983/8現在
(A)
要処理量

(B)

協議の結果

処理実施量
(処理区分)
(E)
処理後能力
1986/3現在
(F)
能力枠

(C)
要処理量

(D)=A-C

住友化学工業

大江 2

64.6

 

 

 

廃棄

64.6

0

3 74.8       廃棄 74.8 0
千葉 1 85.0       廃棄 85.0 0
2 345.0           345.0
合計 569.4 219.0 370.0 199.4 廃棄 224.4 345.0

日本石油化学

川崎 1

52.0

 

 

 

廃棄 52.0

0

2 62.0       休止 62.0 0
3 127.0       休止 127.0 0
浮島石化
浮島
342.0           342.0
合計 583.0 238.0 364.0 219.0 廃棄
休止
52.0
189.0
342.0

丸善石油化学

千葉 2 110.0       廃棄
 
110.0
 

0

3 395.0       部分休止 22.0 373.0
合計 505.0 171.0 352.0 153.0 休止
部分休止
110.0
22.0
373.0

三井石油化学

岩国 2 87.0

 

 

 

廃棄 87.0

0

3 92.0       休止 92.0 0
千葉 4 143.0       廃棄 143.0 0
浮島石化
千葉
466.0           466.0
合計 788.0 325.0 489.0 299.0 廃棄
休止
230.0
92.0
466.0

三菱油化

四日市 2 80.0

 

 

 

廃棄 80.0

0

3 120.0       休止 120.0 0
4 250.0       部分休止 39.3 210.7
鹿島 1 350.0       部分休 51.0 299.0
合計 800.0 317.0 510.0 290.3 廃棄
休止
部分休
80.0
120.0
90.3
509.7

三菱化成

 

水島 1

67.0

 

 

 

廃棄

67.0

0

2 110.0      

廃棄

110.0 0
水島エチレン

360.0

 

 

     

360.0

合計 537.0 163.0 395.0 142.0   177.0 360.0

東燃石油化学

川崎 1

93.0

      休止 93.0

0

2 130.0       休止 130.0 0
3 350.0           350.0
合計 573.0 231.0 361.0 212.0 休止 223.0 350.0

昭和電工

大分 1

221.0

     

休止

221.0

0

2 320.0           320.0
合計 541.0 208.0 351.0 190.0   221.0 320.0

新大協和石化
(東ソー)

四日市 1 41.3      

廃棄

41.3 0
2 320.0      

部分休

54.1 265.9
合計 361.3 136.0 237.0 124.3

廃棄
部分休

41.3
54.1
265.9

出光石油化学

徳山 1

120.0

 

 

 

廃棄

120.0

0

2 260.0       部分休 95.7 164.3
千葉 0      

新設

△220.0 220.0
合計 380.0 95.0 354.0 26.0 部分休
新設
215.7
△220.0
384.3
 

大阪石油化学
(三井東圧)

泉北

320.0

105.0

227.0

93.0

部分休 68.0

252.0

山陽エチレン
(旭化成)

 

390.0

85.0

322.0

68.0

部分休 41.5

348.5

合計

 

6,347.7

2,293.0

4,332.0

2,015.7

 

2,031.3

4,316.4

備考

18工場
32系列

         

13工場
14系列

 

出光石油化学は既に認可を得ている千葉の30万トンエチレン建設着工を1982年10月に1年半延期、1985年6月に能力を落として22万トンでスタートさせた。

住友化学・愛媛はカルテル発効以前の1983年1月に自主的に停止を決めている。
住友化学・愛媛に続いて三井石油化学・岩国大竹と日本石油化学・川崎工場のエチレ
ン生産が 1985年3月に休止され、石油化学工業の第1期計画で稼働した4工場のうち3工場のエチレン設備が休止され、その後廃棄された。

この処理の結果、全工場平均の1プラント当たり能力198千トンであったのが、308千トンとなった。




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