Dow Chemicalの節税策に違法の判決

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ルイジアナ州Baton Rougeの連邦裁判所は2月25日、Dow Chemicalが約10億ドルの節税を行った2つのタックスシェルター行為を否認したうえ、20%の罰金を科した。

1つ(Chemtech I )は1990年代にGoldman SachsとKing & Spalding法律事務所が考案したもので、SLIPS(Special Limited Investment Partnerships)と呼ばれる。多国籍企業が海外の銀行とパートナーシップをつくり、所得控除を作り出すもの。

Dowの場合、1993年から1997年の間に、自社の特許を使用するために、スイスの欧州本部がつくったパートナーシップに
特許料を支払い、費用に落とした。

もう一つ(Chemtech)はKing & Spalding法律事務所が考案したもので、パートナーシップを利用して、既に償却済みの化学工場の償却費を再度落とした。
1998年から2003年の間に利用された。

いずれの場合も、パートナーシップの収益はタックスヘイブンでの所得となり、Dowには課税されない。

これらは、通常は絶対に結び付けられることのない税法の無関係ないろいろな規定同士を繋ぎ合わせ、理屈を作り上げたもので、これを使えば何度も費用に落とせることとなる。
これまでも国税庁はこれと争い、多くの勝利を得ている。このため、現在ではこれらの案は販売されていない。

裁判長は、正当な事業目的ではなく、税法の抜け穴を利用する計画で得られた見せかけの税効果を否認する政府の行動は正しいと判断した。税法が扱うのは経済実態であり、法律の抽象的概念ではないとし、真面目な人ならこんな計画で得られたみせかけの税効果は旨過ぎる話( "too good to be true")と考える筈であり、罰金は当然だとした。

また、Dowは税務部門をプロフィットセンターと見ており、多数の弁護士や税の専門家を思うままに使っていると述べた。

司法省の税部門はこの判決を高く評価し、大企業が税法を悪用して多額の税控除を受けるのは真面目な納税者を侮辱するものだと述べた。

Dowではこの決定に失望したとし、事実や法の規定に反するとして、控訴を含め、いろんな案を検討していると述べた。
問題の金額は1993~2003年の期間に既に仮払しているため、影響は小さいとしている。





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