国家発展改革委員会は2月22日、中国酒のトップメーカーの四川省のWuliangye (五粮液) と貴州省のKweichew Moutai (貴州茅台)に対し、価格カルテルで総額449百万元(71.4百万ドル)の罰金を課した。五粮液は202百万元、貴州茅台は247百万元。
発表では、両社は独占契約を結んでいる卸業者に対し、酒類の販売最低価格を決めていたという。
2008年に中国の独禁法が施行されて以来、最高額の罰金となる。
中国国家発展改革委員会(NDRC)は2011年11月に独禁法違反で製薬会社2社に合計で約110万ドルの罰金を科した。
2011/11/18 中国が価格カルテルを摘発
2013年1月4日にNDRCはLG電子、サムスン電子など韓国、台湾の液晶メーカー6社に対し、総額353百万人民元の制裁金(うち144百万元が罰金)を科したが、これは独禁法施行前の事案のため、価格法に基づいており、制裁金の額は低くなっている。
2013/1/9 中国政府、価格カルテルで外資に制裁金
関係者は、両社は国営企業であり、今回の措置は、政府が独禁法に関しては例外を設けないということを示していると述べている。
但し、この罰金は昨年の両社の売上高の1%に過ぎず、独禁法では最高10%まで有り得ることから、かなり軽いとみている。
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茅台(マオタイ)は高粱を主な原料とする蒸留酒で、産地の貴州省の茅台鎮から命名された。
五粮液は高粱、糯米、粳米、とうもろこし、小麦の5つを原料にしているため、そう呼ばれている。
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中国では習近平総書記が、政府や党幹部の腐敗一掃に向け「倹約令」を指示し、役人を接待し高級酒で春節を祝う宴会の自粛が全国に広がった。
「役人の接待などの宴会用に茅台酒を毎年、大量に買っていた企業関係者の購入がぱたっと止まった」という。
このため、春節(旧正月)を迎え、茅台酒をはじめとする高級酒の価格が急落する異変が起きている。
高級とされる茅台酒は、2300元(約3万円)の商品が現在は1800~1900元(約2万3400~2万4700円)にまで値下がりしており、中には1600元(約2万800円)で販売している店もあるという。
しかし、価格が下がっても、個人で買う人は少なく、売れ行きはさっぱりだという。
そのなかでの罰金で、両社にとってはダブルパンチとなる。
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