メタンハイドレートからのガス採取成功

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経済産業省は3月12日、愛知・三重県沖の海底にある「メタンハイドレート」からガスの取り出しに成功したと発表した。
水深約1000メートルの海底から330メートル掘り進めたところに分布するメタンハイドレートを減圧して水とガスに分解し、回収した。

水をくみ上げて井戸の周辺の圧力を減らし、これによりメタンハイドレートの分解を促し、気化したメタンガスを回収する。

減圧開始から約4時間後の午前9時半ごろにガスの産出を確認した。

海底からガスを取り出すのは世界で初めてで、取り出したガスを燃やして出る炎も確認された。

資源エネルギー庁は1月29日、渥美半島から志摩半島の沖合(第二渥美海丘)において、海底面下のメタンハイドレートを分解し天然ガスを取り出す、世界初の海洋産出試験を実施すると発表した。

試験時期は2013年1~3月末の予定で、石油天然ガス・金属鉱物資源機構が事業主体となり、石油資源開発がオペレーターとなる。
地球深部探査船「ちきゅう」が清水港を出港し、1月28日、試験地点にて準備作業を開始、3月12日に世界初の海洋産出試験を開始した。

2013/1/31 メタンハイドレート海洋産出試験の実施 

今後2週間ほどかけて数千~数万立方メートルのガスを取り出す計画で、 経産省では今回の結果をもとに2018年度までに生産技術を確立し、国産燃料のためのガスとして生産する目標を掲げている。

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経済産業省は2009年3月、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を取りまとめ総合海洋政策本部会合で了承を得た。

本計画は、2008年3月閣議決定の海洋基本計画に基づき、メタンハイドレート及び海底熱水鉱床の実用化に向けた探査・技術開発に係るロードマップ等を示した。

 

メタンハイドレートは、低温かつ高圧の条件下で、水分子の立体の網状構造の隙間にメタン分子が入り込み氷状の結晶になっている。

安定しているメタンハイドレートを分解させるためには、メタンハイドレートを含む地層の「温度を上げる」(加熱法)か「圧力を下げる」(減圧法)というオペレーションが考えられる。
加熱法はエネルギーを得るためにエネルギーが必要で、効率が悪い。

  メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム


2002年、5カ国(日本・カナダ・米国・インド・ドイツ)、7機関(JOGMECの前身の石油公団を含む)の共同研究として、カナダ北西準州のマッケンジーデルタ地域マリックサイトにおいて、第1回陸上産出試験が実施された。
加熱法の一種である「温水循環法」が選択され、約470m3のメタンガスを生産することに成功した。

2008年3月、石油天然ガス・金属鉱物資源機構がカナダの天然資源省との共同研究で、減圧法により、カナダ北西部のBeaufort 海沿岸陸上地域で、永久凍土の地下約1100mに存在するメタンハイドレート層からメタンガスを産出する試験を実施し、メタンガスを連続的に生産することに成功した。

このほか、清水建設が2009年3月、ロシア科学アカデミー陸水学研究所、北見工業大学及び北海道大学と共同で、バイカル湖水深約400mの湖底で、湖底表層に閉じ込められたメタンハイドレートから、ガスを解離・回収する実験に成功した。

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商業化にはコストが壁となる。

メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムの試算では、開発コストは100万BTU当たり30ドル前後で、現時点でのLNG輸入価格の2倍となる。生産量が予想を下回ると60ドルまで上がる。
産出規模が大きくなり、技術革新が進むと15.8ドル程度ま下がるという。(日本経済新聞 2013/3/13)

米国のシェールガス価格は4ドル程度で、LNGでの日本向け輸出が認められると、LNGへの加工費が約 3ドル、輸送費がメキシコ湾岸からなら約3ドルで、合計10ドル程度で輸入できることとなる。

「国産燃料の切り札」とか「天然ガス消費量100年分」などの見出しの記事が見られるが、メタンハイドレートが国産燃料のためのガスとして利用できるまでには、まだまだ技術革新が必要であろう。


 


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