米議会が暫定予算可決

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米国では共和党と民主党が上下院でねじれを起こしているため、2013会計年度(2012年10月~2013年9月)の予算は承認されておらず、暫定予算で運営してきた。

この暫定予算が3月27日に期限切れとなるため、政府機関の閉鎖のおそれがあった。

政府機関の閉鎖回避のための今年度末(9月30日)までの暫定予算案は、まず、野党共和党が過半を占める下院で3月6日に賛成多数で可決された。
3月1日に発効した政府予算 強制削減措置の削減幅は維持しつつ、軍事費についてはどの項目を削るかを国防総省に任せる案だった。

与党民主党が過半を占める上院は、非軍事費でも一部に柔軟性をもたせる修正を加え、3月20日に賛成73、反対26で承認した。

翌21日、下院は上院が修正した案を賛成318、反対109で承認した。
オバマ大統領の署名を経て成立する。

米国ではオバマ政権が発足してから4年間、本予算が一度も通らず、それまでの支出のペースを維持する短期の暫定予算をつないでいる。

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2012年末以降、米国で減税の期限切れと政府支出の強制削減がほぼ同時に訪れる「財政の崖」の攻防が行われている。

2012/12/31 「財政の崖」問題を当面回避

 年収40万ドル超(夫婦合算申告では45万ドル超)の個人の所得税減税措置の打ち切り、その他
 
政府予算の強制削減措置については、2カ月間延長する。

2013/1/4 米国、「財政の崖」問題を当面回避

2013/2/4 米国の国債発行の法定上限を暫定的に引き上げる法案成立
  2013年5月半ばまでに限って法定上限を超える国債の発行を政府に認める。
2013/3/1 政府予算の強制削減措置 発効

2011年7月に国債発行の上限を引き上げた際に、条件として財政削減を義務付け、これが出来ない場合には、強制削減することを決めた。1年半かけても合意できなかった。

2011/8/3  米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避

 ・ 米政府の支出を今後10年間で計1兆2千億ドルを強制的に削減
  ・ 2013会計年度(2012/10-2013/9)で850億ドルを削減
      国防費が13%、国防費以外が約9%削減

2013/3/21 暫定予算案を承認
 850億ドルの歳出強制削減を維持、削減に一定の裁量

◎次の問題は2013年5月半ばの国債発行の上限期限切れ

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現在の米議会の勢力図は以下の通り。

  定数 民主党 共和党
上院 100 55 45
下院 435 201 234
上院民主党は民主党会派2名を含む。

2012年の大統領選挙に当たり、両党は選挙公約となる政策綱領を決めたが、税金と社会福祉については全く異なっている。

民主党 「成長する中間層に投資し、強い米経済を再生する」

  中間層以下には年末に期限を迎える包括減税「ブッシュ減税」を延長
  富裕層の減税は打ち切り

共和党 「アメリカンドリーム」は危機にある。政府を適切な役割に戻し、より小さく、より賢くしなくてはならない。

  最善の雇用創出計画は経済成長だ。政府による助成や一時的・人為的な雇用は提供しない。
  ブッシュ減税を延長する。中低所得者層の金利や配当、株式売却益への課税を廃止する。
  オバマ政権の医療保険改革を撤廃する。
  高齢者や低所得者向け医療保険を現在の「確定給付型」から「確定拠出型」に移行する。

この背景には考え方の違いがある。

米国民の1%が収入の1/4、財産の40%を保有するという大きな格差がある。

民主党はこれを異常とし、富裕層への増税、貧困層への福祉を打ち出している。

これに対し共和党は、高収入は努力の結果であり、富裕層への増税は努力したものに罰を与えるものとし、逆に貧困なのは努力が足りないためであり、福祉は努力をしないものを褒め称えるものだとする。
個人が自分の考えで寄付をするのはよいが、国が税金を使って福祉をやるのはおかしいとする。

Paul Krugmanは著書 "End this Depression Now !" のなかで、Steve Jobsなど少数の人を除き、高収入は努力の結果ではないとして、共和党の主張を以下の通り批判している。

Topの1%の所得は急激に上昇している。

このグループに属するのはファンドマネージャーや大企業のトップである。

ファイナンスの規制緩和の後、ファンドマネジャーが多額の成功報酬を受け取るようになった。(ファンドが失敗することも多いが、その時に前の報酬を返還することはない)

大企業のトップの報酬は他の企業のトップが務める報酬委員会が決めるが、ファンドマネジャーがそんなに貰っているのだから経営者がもっと貰って当たり前という言い訳が出来るようになり、互いに、報酬を増やした。
組合の弱体化もトップの高給を批判する力を弱めた。

保守系の市民運動 Tea Party もオバマ政権の大型景気対策や医療保険制度改革などを批判し、「増税なき小さな政府」を掲げるが、Tea は"Taxed Enough Already" (もう税金はたくさんだ!)を表している。

昨年末の「財政の崖」協議で富裕層増税を受け入れた共和党は、次は民主党が譲る番だとして、一段の歳出削減や社会保障制度改革を要求している。



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