SABICは3月3日、同社とSinopecが共同で計画していたTrinidad and Tobagoでのメタノール計画を取り止めると発表した。
同国政府との間で原料の天然ガスの価格と供給条件で合意に達せず、交渉を中止することで合意したとしており、SABICとSinopec側は状況が変われば交渉を再開したいとしている。
同国政府は、この計画は、天然ガスを原料に、メタノールから更にメタノール誘導品、Methano--to-Olefinsによるポリエチレン、ポリプロピレンまでを含む一連の計画の中枢の計画であるとし、計画遂行のため他のパートナーを探したいとしている。
入札の第二位はNational Gas Companyであった。
他の参加者には以下の各社がある。
Celanese
Methanol Holdings Trinidad Ltd (MHTL)
Integrated Chemicals (ICCL:米国):三菱ガス化学、Neal and Massy of Trinidad and Tobagoと提携
Saudi International Petrochemical (SipchemとJapan-Arabia MethanolのJV):三井物産、ダイセルと提携
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2012年2月、SABICとSinopecは共同で53億ドルを投じてTrinidad and Tobagoでメタノールコンプレックスを建設する件で同国政府との交渉を開始した。両社は他の各社も入った入札で一番札となった。
SABICとSinopecは2012年1月14日、新規事業開発に関する協力覚書を締結している。
具体的な計画は明らかにしていないが、地元紙はMethanol-to-olefins (MTO) と Methanol-to-petrochemicals (MTP) が含まれていると報じている。同地の天然ガスを原料とするもので、立地はPoint Lisas。
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当時、本計画の入札の透明性についてTrinidad and Tobago で論争が起きていた。野党議員も、Sinopecが参加することを知らなかったと述べ、交渉内容を明らかにするよう求めた。
米大使は政府に書簡を送り、米国企業などの競合相手を抑えてSABICを選ぶことに懸念を表した。日本大使館も懸念を表する書簡を送ったとされる。
もう一つの問題は原料の天然ガスの価格の大幅値引きである。
SABICはNYMEXでの天然ガス価格が当時 100万BTU当たり2.48ドルであるのに対し、1ドル以下を要求していると伝えられている。
これは第二位のNational Gas Companyの求める価格より36%低いもので、国内メーカーよりも極端に安い価格を外国企業に認めるのはおかしいとの声が出ていた。
計画によれば日量225百万立方フィートの天然ガスが必要だが、SABIC/Sinopec側は政府が十分な量の天然ガスを供給できるのか疑問を持ったとされる。
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