信越化学の2013年3月期決算 好調

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シンテックが好調で、半導体シリコンの減益を補い、増収増益となった。

但し、過去最高益の2008年3月期(シリコンの利益が最高であった)からは大きく下回っている。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益

 配当

中間 期末
2008/3 13,764 2,871 3,000 1,836 40 50
2012/3 10,477 1,496 1,652 1,006 50 50
2013/3 10,254 1,570 1,702 1,057 50 50
前年比 -223 74 50 51 - -
(2008/3比) (-3,510) (-1,301) (-1,298) (-779)    
2014/3予

未定

営業損益推移

シンテックが好調で、塩ビ・化成品がシリコンとシリコーンの減益分をカバーした。

  10/3 11/3 12/3 13/3 増減
塩ビ・化成品 196 197 237 456 219
シリコーン 249 341 337 286 -50
機能性化学品 139 129 147 145 -2
半導体シリコン 226 389 343 219 -124
電子・機能材料 307 361 382 409 27
その他 68 73 50 56 6
全社 -13 3 1 -0 -1
合計 1,172 1,492 1,496 1,570 74

 

Shintechの経常損益 (ドル建)は、3年間は2億ドル前後で停滞していたが、2012年は551百万ドルで前年比で2.2倍となり、過去最高の2006年の375百万ドルと比べても1.47倍となった。

米国内の需要回復は低水準に止まったが、中南米をはじめとした世界中の顧客への拡販により、高水準の出荷を維持した。
また、VCMの第2期 80万トンの増設が2011年に完成し、本年はフルにその効果が出たのが大きい。

立地 PVC VCM カ性ソーダ  
Texas州 Freeport  1,450   -   -  
Louisiana州 Addis   590   -   -  
Plaquemine   600   800   530  
Plaquemine   800  530  2011年完成
Addis  (270)   -   - Bordenから購入、廃棄
合計  2,640  1,600   1,060  


米国の他のPVCメーカーも損益が回復している。

Georgia Gulf は2013年1月にPPG IndustriesのCommodity Chemical Divisionと合併し、Axiall Corp.となった。

半導体シリコンは厳しい状況が続いている。
既報の通り、多結晶シリコンは半導体向け・太陽電池向けともに供給過剰に伴い市況は急激に悪化、当面、市況低迷は続くと予測される。

信越半導体グループの経常損益は今回は発表されていないが、2010年3月期以降、大幅減益となっており、2012年9月中間では更に悪化、前年同期比42%減となった。

今回、信越化学は特別損失に6,137百万円の投資有価証券売却損を計上した。

信越半導体は金属シリコンメーカーで世界大手5社の1社であるHemlock Semiconductorに24.5%を出資していたが、今回、その一部を売却し、売却損を計上した。売却により出資比率が2割を下回ったため、持分法の適用対象外となる。

Hemlock Semiconductorは1979年にDow Corningの100%子会社として設立された。
1984年に信越半導体と三菱マテリアルが加わり、3社のJVとなった。
  Dow Corning 63.25%、信越半導体 24.5%、三菱マテリアル 12.25%

今回の売却先は明らかになっていないが、Dow Corningと思われる。

従来、Hemlockは信越化学の持分法利益に貢献していたが、最近はシリコンの供給過剰に悩み、本年1月には400人のレイオフを発表している。

 



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