ヤクルトとダノン、戦略提携契約を終了

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ヤクルト本社は4月26日、ダノン (Danone) との間の戦略提携契約を解除することを決めたと発表した。
今後の協業関係に関する覚書を締結する。

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ダノンは2000年までにヤクルト株5%弱を取得した。
当時はヤクルト経営陣のデリバティブ取引による巨額損失(1998年に1057億円の特別損失計上)が発覚し、株価が急落していた。

両社の間に具体的な提携関係に至らないまま、ダノンは2003年に一方的に出資比率を20%に引き上げた。

両社は2004年3月に以下の内容の戦略提携契約を締結した。

食品及び飲料の分野における両社の世界的なリーダーシップを強化し、両社の成長をさらに加速することを目的とする。

この目的を達成するために、両社は、当面は海外プロバイオティクス分野(ヨーグルトや乳酸菌飲料)を中心に、
ヤクルトの技術力及び独創的な販売網と、
ダノンの世界的なプレゼンス及びマーケティング力を活用して、
両社の相乗効果を十分に発揮できる様々な協力を行い、互恵的な提携関係を構築する。

相互に取締役を派遣。

ダノンはヤクルトの独自の文化、ビジネスモデル並びに独立性を尊重し、実質的な支配権を追求しないと確約。
ダノンは契約後5年間は現在の持ち株比率を引き上げず、その後の5年間に付いても、仮に買い増しを行った場合でも、実質的に過半数となるような水準は超えない。

(2004年当時、ヤクルトの株主総会で議決権が行使される比率は全体の7割程度で、35%超の株式を保有することは、「実質的に」議決権の過半数を押さえることになる。)

戦略提携契約に基づき、2005年にインドに50/50JVのYakult Danone Indiaを設立、2006年6月にはベトナムにヤクルト80%/ダノン20%出資でYakult Vietnamを設立した。

2007年5月には買い増しをしない期限を2012年5月まで延長する「休戦協定」を結んだ。

2012年に入り、ダノンは株を35%まで買い増す考えを打診したが、3分の1以上を握れば経営の重要議案を否決できるため、ヤクルトは拒否し、比率を28%にとどめる妥協案も受け入れなかったとされる。

両社はその後も契約改定に関する協議を重ねてきたが、合意に至ることができず、今回、ヤクルトはダノンに対して戦略提携契約の解除を通知した。

ヤクルト会長は会見で「企業文化やマーケティング手法などの違いを縮めることができなかった」と述べた。

これにより、ダノンが現在の持株比率を引き上げないという同契約上の義務も失効した。
今後、ダノンがTOBなどに踏み切るかどうかが注目される。

なお、両社ともに友好的な関係を維持することを希望しており、今後の協業関係に関する了解事項を確認するために覚書を締結した。

 ・両社は、戦略提携契約のもとで協同してきた既存の合弁事業、プロバイオティクス振興活動および研究活動を継続する。
 ・今後も両社にとってメリットのある新たな協業の可能性があれば、これに取り組む。
 ・ヤクルトは今後もダノンから3名の取締役候補の推薦を受け入れる。

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ダノンは世界で初めてヨーグルトの工業化に成功した会社である。

ヨーグルトのバクテリア機能はパスツール研究所のメチニコフ所長が解明した。

メチニコフ(1845-1916)はロシア人で、
ヒトデの研究から、細胞性免疫の基礎となる「捕喰細胞」の研究で1908年にノーベル賞を受賞したが、「動脈が硬化するのは腸内の細菌が自家中毒の原因となる毒を作るためである」という「メチニコフの仮説」を考えた。

ブルガリアではブルガリア菌と呼ぶ細菌で作ったヨーグルトを毎日飲んでおり、長生きが多いことを知り、このヨーグルトが大腸内の細菌の繁殖を防ぎ、自家中毒を防ぐと信じた。毎日大量に飲用するとともに、自らヨーグルト製造会社を作って、製造と販売を行った。

1919年、スペインのIsaac Carassoが、パスツール研究所から乳酸菌の株を取り寄せ研究し、世界で初めてヨーグルトの工業化に成功した。
息子のDaniel の名前をもじり(DAN-ONE)、「DANONE」を商標にし、医師を通じて薬局で販売した。


このDaniel が1929年にフランスでダノン社を創設した

ダノンは、地盤とする欧州の成長が少子高齢化もあって先細りで、この15年余りで欧州の売上高比率は約80%から40%未満へと半減しており、全体の半分以上を新興国とアジア・オセアニアが占める。

このため、ダノンにとっては、ヨーグルト・乳製品部門と新興国市場での販売網を強化するため、アジア展開で成功しているヤクルトと組む効果は非常に大きい。

一方、ヤクルトのアジア・オセアニア事業は増収増益で順調に拡大しており、海外展開において提携のメリットは少ない。

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ダノンは中国で宗慶後氏のワハハグループとのJV「杭州娃哈哈集団」を設立し、「娃哈哈(ワハハ)」ブランドの炭酸飲料水を売り出したが、ワハハ側との争いの後、撤退している。

2009/10/5 ダノン、ワハハに中国JVの持株売却

 


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