BPは5月2日、同社主導のShah Deniz コンソーシアムがアゼルバイジャンのカスピ海沖のShah Deniz ガス田第2期のガスの欧州向け輸送ルートについて、2つのパイプライン会社からの正式提案の検討を開始したと発表した。
Shah Deniz ガス田第2期は世界最大級の天然ガス開発計画で、新設する4,000kmの南部ガス回廊(Southern Gas Corridor)を経由して欧州に送り、欧州のエネルギー安全保障に貢献する。
Shah Deniz コンソーシアムのメンバーは以下の通り。
|
Shah Deniz
ガス田第1期は年産90億立方メートルだが、現在、第2期(年産160億立方メートル)の設計(FEED)段階にある。
2010年6月、トルコとアゼルバイジャンがこの天然ガスの供給をトルコが受けることで覚書に署名した。
トルコが60億立方メートルを購入するのに加え、残り100億立方メートルを欧州など他国へ再輸出する権利を持つ。
本年3月末に2つのコンソーシアム、Nabucco Gas Pipeline International
&Trans Adriatic Pipeline (TAP) から提案を受けた。この提案は現在は正式提案となっており、Shah Deniz
コンソーシアムは南部ガス回廊のルートを2013年6月末に最終決定する。
トルコへの輸出開始は2018年、欧州へは2019年を予定している。
現在、欧州の15社以上の需要家から年300億立方メートル以上のオファーを受けており、今後販売先を決定する。
パイプラインルートついては、Shah Deniz コンソーシアムの基本構想は以下の通り。
1)South Caucasus Pipeline (SCP)
Azerbaijan とGeorgiaをつなぐSouth Caucasus Pipeline (SCP) に56インチのパイプラインを増設する。
2)Trans Anatolian Pipeline (TANAP)
トルコ国内はトルコ政府とアゼルバイジャン政府の交渉で新しくTrans Anatolian Pipeline (TANAP) 運営会社が設立された。
BPはこれを強く支持しており、TANAPに12%出資することを決めた。トルコからは新設の2つのパイプラインで欧州に送り、既存のパイプラインに接続する。
3)Nabucco Gas Pipeline
Nabucco Gas Pipeline の建設計画は2002年に始まり、2009年7月13日には、トルコ、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、オーストリアの5カ国間で合意書に署名がなされた。
この5カ国にドイツを加えた6カ国のコンソーシアムであるNabucco Gas Pipeline Internationalが開発事業者である。下記6社が各々16.67%の株式を保有する。
OMV オーストラリア FGSZ ハンガリーMOLの100%子会社 Transgaz ルーマニア Bulgarian Energy ブルガリア Botas トルコ RWE ドイツ
なお、Shah Deniz コンソーシアムがNabucco 採用を決めた場合、Shah Deniz コンソーシアムのメンバーのBP、SOCAR、Statoil、Totalの4社がNabuccoに合計で50%迄出資するオプションが与えられている。
南部ガスライン計画にはEUがバックアップするNabucco計画とロシアのSouth Stream計画が争っていた。
Nabucco 2010/9/22 カスピ海の天然ガス、黒海経由で輸出へ South Stream 2011/3/30 BASFがロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加
Nabucco計画は当初、トルコ東端から欧州までつなぐ計画であった。
現在はTrans Anatolian Pipelineができるのを勘案し、トルコとブルガリアの国境を起点とするNabucco West を検討している。
4)Trans Adriatic Pipeline (TAP)
ギリシャからアルバニアを経由、アドリア海を渡ってイタリアに通じる全長800kmのパイプライン計画。
Trans Adriatic Pipeline (TAP) AG の株主は以下の通り。
EGL(Axpo子会社) 42.5% スイス Statoil 42.5% ノルウェー E.ON Ruhrgas 15% ドイツ
なお、Shah Deniz コンソーシアムがTAP 採用を決めた場合、Shah Deniz コンソーシアムのメンバーのBP、SOCAR、Statoil、Totalの4社がTAPに合計で50%迄出資するオプションが与えられている。
コメントする