原子力規制委員会は5月22日、定例会議を開き、日本原子力発電敦賀原発2号機の原子炉建屋直下を走る断層を「活断層」と断定した有識者会合の報告書を了承した。
日本原電はこれまで強く反論してきたが、規制委は、得られたデータから十分判断できると、主張を受け付けなかった。
焦点となるのは、2号機の真下を横切る「D-1」断層。
規制委はD-1断層の延長上で見つかったK断層が活断層だと指摘。K断層とD-1断層はつながっており、D-1も活断層の可能性があると判断した。 原電の依頼を受けて第三者の立場から同断層について調査した海外の専門家などによる検討チームの中間報告が5月21日に発表された。 メンバーの地質学者 Dr. Kelvin Berryman は「非常に限られたデータしかないが、現時点では活断層はないと考えられる。活断層であることを示すデータは一切なかった」と述べた。 古い断層の評価は技術的に極めて困難で、両者とも直接的な証拠は示してない。 島崎邦彦委員長代理は5月22日の規制委で「否定できないものは安全側の判断をする」と明言した。 |
会合のあと、記者会見をした田中委員長は2号機の運転について「活断層が原子炉の下にあることを、国の指針では想定していない」と述べて、再開は難しいという認識を示した。
一方で「新たなデータが出てきて結論が変わることまでは否定していない」と述べた。
ただ、6月まで続く日本原電の独自調査で今回の結論を覆すのは極めて難しく、敦賀原発2号機は事実上、運転ができず、廃炉になる可能性が高くなる。
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実際に廃炉するとすれば、多くの問題が出てくる。
日本で廃炉を終えたのは日本原子力研究開発機構の小型の試験炉だけ。
原研JRR-4(濃縮ウラン軽水炉1MW)
東海村で1963年10月26日に日本初の電力発電、1976年3月18日運転終了、1996年3月31日解体終了。
現在、廃炉が決まっている炉の廃炉解体予定は次の通りで、長期にわたる。
運転開始 |
能力 万KW |
運転終了 | 解体終了予定 | |||
日本原子力 東海 |
1号機 | 1966/7/25 |
英国製黒鉛 減速ガス冷却炉 |
16.6 | 1998/3/31 | 2020年度 |
中部電力 浜岡 |
1号機 | 1976/3/17 |
BWR (Mark-1) |
54.8 | 2009/1/30 | 2036年度 |
2号機 | 1978/11/29 | 84.0 | ||||
東京電力 福島第一 |
1号機 | 1971/3/26 |
BWR (Mark-1) |
46.0 | 廃止 2012/4/19 |
2050年 |
2号機 | 1974/7/18 | 78.4 | ||||
3号機 | 1976/3/27 | 78.4 | ||||
4号機 | 1978/10/12 | 78.4 | ||||
日本原子力 研究開発機構 敦賀 |
ふげん | 1978/3/20 | 新型転換炉 | 16.5 | 2003/3 | 2028年度 |
東海原発の解体日程は以下の通り。
費用については、電力会社9社が出資する日本原子力発電によると、標準的な原子炉1基の解体から放射性廃棄物の処分までに必要な廃炉費用が、2002年6月の段階で約550億円といわれていた。
東海第二原発 (出力110万kw) をモデルにした試算で、モデルでは解体費用が388億円、原子炉圧力容器などの放射性廃棄物の処理・処分費用が157億円、合計で545億円という見積もりを根拠にしてい る。
しかし、実際に解体が始まっている東海原発1号機の場合、廃炉費用を885億円としている。
電力各社は40年操業を前提に廃炉費用を引き当てしているが、実績が見積もりを上回れば、引当不足で損失となる。
今回の敦賀2号機の場合、運転開始は1987年7月であり、26年しか経っておらず、大幅引当不足となる。
なお、放射性廃棄物の処理処分方法は以下の通りとなっている。
実際には廃棄先が簡単に決まるとは思えない。取り出した燃料の処理方法も未定である。放射性廃棄物は性状・放射能レベルに応じ、減容、固化等の処理後、貯蔵庫一時保管し、廃止措置期間終了までに廃棄施設に搬出する。
廃棄先が確定できない場合は、安全貯蔵期間を延長する。
参考 日本の原発の現況 https://www.knak.jp/blog/genpatsu-list.htm
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