2013年3月決算 - 住友化学

| コメント(0) | トラックバック(0)

基礎化学、石油化学の減益が大きく、減益となった。

特別損益に多額の減損損失、事業構造改善費用を計上、当期損益は511億円もの赤字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2011/3 19,824 880 841 244 3 6
2012/3 19,479 607 507 56 6 3
2013/3 19,525 450 503 -511 6 0
前年比 46 -157 -5 -567 0  -3 
2014/3 23,500 900 900 300 6 3

 

営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 前年比 2014/3
予想
基礎化学 206 93 -64 -157 0
石油化学 111 62 -32 -94 50
情報電子化学 261 110 117 7 340
健康・農業関連 233 265 263 -2 340
医薬品 287 209 309 99 320
その他 41 77 80 2 50
全社 -260 -209 -222 -12 -200
合計 879 607 450 -157 900


基礎化学部門は合成繊維原料の市況下落と数量減、メタアクリル、アルミニウムなどの市況の下落で大幅減益となり、石油化学とともに赤字に転落した。

情報電子化学と農薬は前期並みの損益を維持、医薬品は増益となった。
情報電子化学では、液晶ディスプレイ材料の偏光フィルム、カラーフィルムの価格が下落したが、偏光フィルムの数量は増えている。

次期予想では石油化学は黒字、情報電子化学はスマートフォン用タッチパネルや偏光フィルムの出荷増で約3倍の利益を見込む。

営業損益の大幅減少のなか、経常損益ではほぼ前年並みとなり、当期損益は大幅な赤字となった。
この理由は以下の通り。(単位:億円)

  2011/3 2012/3 2013/3 前年比
営業損益 880 607 450 -157
営業外損益 受取利息・配当金 67 77 76 -1
支払利息 -130 -124 -128 -4
持分法利益 108 20 54 35
為替差損益 -66 -37 68 104
その他 -18 -35 -17 19
合計 -39 -100 52 152
経常損益 841 507 503 -5
特別損益 投資有価証券売却益 98 -98
減損損失 -32 -36 -229 -193
事業構造改善費用 -41 -64 -108 -44
投資有価証券評価損 -47 -47
持分法投資損失 -260 260
その他 -11 -7 4 11
合計 -84 -268 -379 -111
税引前当期利益 757 239 123 -116
法人税等 348 83 527 444
(うち 法人税等調整額) (36) (-195) (350) (545)
差引 損益 409 156 -404 -561
少数株主利益 164 101 107 6
当期純利益 244 56 -511 -567


営業外損益では為替差損益が前年比で104億円の益となった。

特別損益には差引379億円の損失を計上した。

 1)減損損失 229億円

千葉 エチレン等   63
2015/9目処に千葉エチレン停止
大分  レゾルシン  66 事業環境悪化で収益性低下
中国 偏光フィルム  57 環境変化で事業計画見直し(建設途中)
ポーランド 偏光フィルム  32 営業停止を決定


住友化学は2月1日、国内石油化学事業の拠点の千葉工場の競争力強化のため、2015年9月(次の定修時期 )までに、エチレン製造設備(定修スキップ年能力415千トン)を停止すると発表した。
このため、千葉工場のエチレン等の設備の減損損失を計上した。

2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退

これ以外に、事業環境悪化で収益性が低下しているレゾルシンと偏光フィルムについて減損処理を行った。

レゾルシンの世界需要は約6万トンとされ、能力も約6万トンで、うち住友化学が30千トン、三井化学が7.6千トンであった。
しかし、中国でレゾルシンの反ダンピング調査を要請した浙江鴻盛化工
Zhejiang Hongsheng Chemical が2万トンの設備を完成させていることが分かった。

このため、事業環境が悪化しているとみられる。三井化学のレゾルシン工場は2012年4月に爆発事故を起こし、再建を断念し、昨年末に事業撤退した。

偏光フィルムについては上記のとおり利益を計上しており、来期も増益を見込んでいるが、需給状況の悪化を受け、中国計画を見直し、ポーランドについては営業停止を決定した。

なお、中国計画については、2012年9月に日経新聞が「中国生産を白紙にする方向で検討に入った」と報道したのに対し、同社は、需要の伸びが緩やかなこと、既存プラントの生産性があがったことから、稼働時期を見合わせているだけと述べている。

 2)事業構造改善費用 108億円

これには千葉工場の石油化学分が(減損損失のほかに)17億円含まれている。

 なお2012年3月期の持分法投資損失260億円は豪州農薬会社のNufarm の株式評価損。


税金は、前年は持分法投資損失(評価損) で減る予定の税金を繰延資産に計上し、法人税等調整額がマイナス(利益)になったが、本年は赤字計上に伴い繰延税金資産の見直しを行い、350億円の法人税等調整(損失)を行った。

税引後損益は404億円の大幅赤字となったが、子会社のなかで利益の大きい大日本住友製薬(出資比率は50.12%)などの利益の他株主帰属相当分が少数株主利益として控除されるため、純損益は511億円の赤字となった。

 

大日本住友製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2011/3 3,795 310 286 168 9 9
2012/3 3,504 204 189 86 9 9
2013/3 3,477 250 245 100 9 9
前年比 -27 46 56 14    
2014/3 3,690 260 250 130 9 9


営業損益はSepracor Inc.(現在のSunovion Pharmaceuticals )買収に伴う特許権とのれんの償却費259億円を控除したのちのもの。
前年は277億円であった。



トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/2189

コメントする

月別 アーカイブ