医薬メーカーの決算は以下の通り。
各社の決算のポイントは以下の通り。
武田薬品
営業損益:前期比 1425億円減
増収により339億円増益となったが、販売費・一般管理費が1764億円増加した。
うち、研究開発費 424億円増、
販売費 503億円増、労務費 402億円増、その他のれん・無形固定資産償却費増などで1340億円増
特別損益&税金:
特別損益は前期 -179億円に対し、当期は165億円で、差引 344億円の増益
投資有価証券売却益 531億円、
インフルエンザワクチン政府助成金 228億円、
減損損失 -436億円(特許権、販売権等)
事業構造改善費用 -252億円(海外従業員削減計画等) (前期は -355億円)税金では移転価格税制による還付を過年度法人税等として-574億円を計上(益)
これの還付加算金(利息)151億円を特別利益に計上 (合計725億円の益)還付加算金は2010年以降は年4.3%で、国税庁は理解不能の更正決定を行い、結果として武田に大きな利益を与えたこととなる。
当期損益:経常損益ベースでは前期比-1572億円であったが、当期損益は逆に71億円の益となった。
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アステラス製薬
営業損益:前期比 223億円増
増収により307億円の増益、研究開発費 78億円減、その他販管費 162億円増
特別損益:前期比 243億円減(減損損失 前期比 255億円増)
当期損益:前期比 46億円増
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田辺三菱製薬
営業損益:ほぼ前期並み
増収となったが、薬価改定の影響で売上総利益は前期比20億円減益、販売費、一般管理費は研究開発費の減で20億円増益。
特別損益:前期は-50億円、当期は-16億円で、差引34億円の増益となった。
特別損失には、関係会社のベネシスと日本赤十字社の血漿分画事業統合による資産処分損 23億円や、HCV訴訟損失引当20億円などがある。減損損失は前期比 26億円減。
当期損益:29億円の増益。
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第一三共
営業損益:前期並み(増収により142億円の増益、一般管理費 138億円増)
経常損益:前期比229億円の増益
インド子会社Ranbaxyがデリバティブ取引をしている。
前年は評価損 165億円、本年は評価益 64億円で、差引営業外損益が 229億円の増益となった。
特別損益:前期は423億円の損、当期は70億円の損で、差引353億円の増益。
前期にはインド子会社Ranbaxyの米司法省との和解金引当399億円(500百万ドル)がある。
米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月16日、ランバクシー・ラボラトリーズの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。
医薬品の安全性に問題はないが、ランバクシーのインドのデワスとパオンタ・サヒブにある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。
また、FDAが1月から3月にかけて問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。2011年11月に、ランバクシーは米国食品医薬品局(FDA)と同意協定書を締結、データの信頼性を確実にするための手段や方針を更に強化し、現行の適正製造基準を遵守することを確約した。
同時に米国司法省との案件の解決に向け、500百万米ドルを引き当てた。
2013年5月14日、第一三共はランバクシーの米国司法省との協議が終結したと発表した。支払額は引当と同じ500百万ドルとなった。
当期損益:税引き前損益が前期比582億円増となり、法人税等調整を含め、純損益では562億円の増益となった。
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エーザイ
営業損益:前期比252億円の減
販売管理費(450億円減)、研究費(47億円減)は減少したが、売上高が743億円減った影響が大きかった。
当期損益:102億円の減益となった。
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大正製薬
営業損益:前期比31億円の減益
売上総利益は40億円の増、研究費は9億円の減で、合計49億円の増益となったが、販売費、人件費、情報関連費用等が増加し、合計で減益となった。
当期損益:
投資有価証券評価損の前期比減少などで、特別損益が前期比22億円の増となり、法人税等も21億円の減となって、差引20億円の増益となった。
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塩野義製薬
営業損益:118億円増
増収に加え、原価率の改善、コスト削減、米国事業の集積の改善等で増益
特別損益:
抗HIV薬に関するViiVとの契約締結に伴い、シオノギViiVヘルスケア簿価とViiV株式10%の時価との差額404億円を特別利益に計上。
同時に米国事業の販売権とノレンの減損で408億円の特別損失を計上。これを受け、単体決算では株式評価損1101億円を計上。(連結決算では影響なし)
2012/11/2 塩野義製薬、HIV治療薬JVの枠組み変更
法人税等:前期比 229億円減
単体決算での株式評価損で税金等の費用が大きく減少したため、連結での税金は-85億円となった。(前期 144億円)
当期損益:前期(271億円)比396億円増の667億円となった。次期予想は370億円。
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大日本住友製薬
営業損益:前期比46億円の増益
薬価改定の影響などによる減収で売上総利益は55億円減となり、研究開発費は30億円増えたが、
経費削減で販売費・一般管理費が131億円減となった。なお、一般管理費には米国でのSepracor Inc.(現在のSunovion Pharmaceuticals )買収に伴う特許権とのれんの償却費 が含まれるが、前期は277億円、当期は259億円であった。
当期損益:
特別損失に事業構造改善費用(前期比36億円増の48億円)などを折り込み、当期利益は前期比14億円増となった。
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