Dow Chemicalは5月24日、K-Dow問題でKuwait国営のPetrochemical Industries Company (PIC)から損害賠償として受け取った22億ドルのうち、20億ドルを2013年中に借入金返済に使用することを明らかにした。
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国際商工会議所の国際仲裁裁判所は2012年5月24日、Dow とKuwait国営のPetrochemical Industries Company (PIC) との間のK-Dow Petrochemical に関する調停結果を発表した。
PICがK-Dow Petrochemical 設立の契約を破棄したため、Dowが損害を被ったとして訴訟を行い、最終的に調停を求めることとしたもの。
仲裁裁判所はPIC側に責めがあると認定し、PICに対しDowへの21.6億ドルの損害賠償支払いを命じた。金利と費用はこれに追加される。
事態と経緯については、2012/5/25 Dow、石化JV中止問題での調停で勝利、21.6億ドルを獲得
その後2013年3月4日に国際仲裁裁判所は最終金額を発表した。金利と費用は318百万ドルで、これを加えると合計24.8億ドルとなる。
Dowは2013年5月7日、PICから22億ドルを受け取ったと発表した。
これは仲裁裁判所の決めた21.6億ドルにDowのコストを加えたもので、金利を免除する代わりに、KuwaitにおけるDowの事業についての罰則措置に関し好意的な合意を取り付けたとしている。
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Dowは第2四半期に16億ドル程度の借入金を返済する。
6月24日には2015年満期の利率5.90%の借入金12.5億ドルを返済する。
このほかに、InterNote債と免税債の返済を第2四半期内に行う。
更に追加の4億ドルの返済を下半期に計画する。
22億ドルの借入金返済により、年間ベースで支払金利が1億ドル以上減少する。
Dowは2008年末のK-Dow計画破綻で、予定していたRohm & Haas買収資金が失われ、これを多額の借入と資産売却で切り抜けたが、今回の返済で同社の資本/負債比率は2008年危機の前のレベルに戻ることとなる。
Andrew N. Liveris CEOはこれを誇るとともに、「重要なことは、Dowは業界を主導するプラスチック事業を完全保有している」と述べている。
同社は当初、原料価格の変動で業績が左右される基礎部門の強化を"asset light" strategy(「資産を持たない、減らす」戦略 ) 、即ちJV化を通して行う方針を明らかにしており、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンをPICとの50/50JVのK-Dowに出す予定であった。
しかし、その後のシェールガス革命を受け、Dowは米国の石油化学を再評価し、エチレン、プロピレンの大々的な投資を始めている。
2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表
PICが断ってくれたおかげで、今後高収益が期待される樹脂事業を売らずに済み、更に22億ドルを受け取ることとなった。
Dowへの22億ドルの支払いで国会の追及を受けていたKuwaitの石油相が5月26日に辞表を出し、受理されたと報道されている。
Kuwaitでは国会の会派 Popular Action Bloc の議員が政府と対立、DowとのJV合意の際にも問題視し、反対運動を展開していた。
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