東京電力は4月30日、2013年3月期決算を発表した。
2014年3月期の業績見通しを「未定」とした。経営再建計画で黒字転換を掲げていたが、柏崎刈羽原発の再稼働の見通しが立たず、業績見通しを示せなかった。
3期連続の経常赤字となれば銀行から新規融資を受けるのも難しくなり、経営再建計画の見直しは必至となる。
単位:百万円、配当 円 |
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2011/3の法人税等には、繰延税金資産取り崩しを含む。(2010年12月末時点で約4800億円) |
単独決算で見ると、経常損益は前年度比で306億円の増益となっている。
電気料収入増 6214億円 (うち、電力料金値上げ 3730億円、燃料費調整制度の影響 1600億円) 燃料費増 -5016億円 (原発代替 -3090億円、円安 -1230億円、価格差 -1530億円) 購入電力料増 -844億円 人件費減 210億円 償却費減 523億円 バックエンド費用減 332億円 (使用済み燃料再処理、放射性廃棄物処分費引当減) 修繕費増 -701億円 (火力発電所、配電設備など)
株主資本 単位:百万円 |
2011/3月末 | 2012/3月末 | 2013/3月末 |
増減 |
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資本金 | 900,975 | 900,975 | 1,400,975 | 500,000 | |
資本剰余金 | 243,653 | 243,653 | 743,621 | 500,000 -32 |
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利益剰余金 | 前期末残高 | 1,831,487 | 494,054 | -287,497 | -781,551 |
配当支出 | -81,002 | 0 | 0 | 0 | |
当期純損益 | -1,247,348 | -781,641 | -685,292 | 96,349 | |
その他 | 5 | 90 | 16 | -74 | |
当期末残高 | 494,054 | -287,497 | -972,773 | -685,276 | |
純資産合計 | 1,602,478 | 812,476 | 1,137,812 | 325,336 |
東京電力は2012年5月21日、2種類の優先株を合計19億4000万株、金額換算で1兆円を発行すると発表した。
債務超過リスクや資金繰り面でのリスクを回避し、事業の継続性を確実なものにするとともに、公募債市場への復帰等自律的な資金調達力の早期回復を図るためにも、資本を増強し、財務基盤を強化する。
政府の原子力損害賠償支援機構が全株引き受け、7月25日までに全額を払い込む。
これにより、東電の経営は実質公的管理下に置かれることになる。2012/5/25 東京電力、1兆円の優先株発行、公的管理下に
特別損益内訳 単位:百万円 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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賠償補償:
通常の原子力損害の場合の賠償に対しては、民間の損害保険会社による保険である責任保険により、賠償措置額(発電用原子炉の場合は通常1200億円)まで保険金が支払われる。
地震、噴火、津波の自然災害による原子力損害等の場合は政府補償により、賠償措置額まで補償金が支払われるが、今回は適用されない。
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全国の電力会社では北陸電力と原発を持たない沖縄電力以外の8社で経常損益と当期損益が赤字となった。
電力会社 経常損益 当期損益 当期 前期 増減 当期 前期 増減 北海道 -1,281 -96 -1,185 -1,328 -720 -607 東北 -932 -1,765 832 -1,037 -2,319 1,282 東京 -3,269 -4,004 735 -6,853 -7,816 963 中部 -435 -678 243 -321 -921 600 北陸 17 10 7 1 -53 54 関西 -3,532 -2,655 -877 -2,434 -2,423 -12 中国 -288 298 -586 -220 25 -244 四国 -570 -19 -551 -429 -94 -335 九洲 -3,312 -2,135 -1,176 -3,324 -1,663 -1,660 沖縄 63 103 -40 43 70 -26
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