パイプライン万里長城が完成

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ミャンマー西部の港町チャウピュー(Kyaukpyu)から中国雲南省の昆明まで800kmに達する石油とガスのパイプラインが5月初めに完成し、中国がマラッカ海峡を経由せずミャンマーの天然ガス と中東等の原油を輸入できるようになった。

早ければ来月から、韓国の大宇インターナショナルのコンソーシアムがミャンマー西部海洋で採掘したガスがこのパイプラインで昆明に送られる。来年からは原油も輸送される。

5月20日付の韓国の中央日報が伝えた。

パイプラインのルートは以下の通り。

下の写真(大宇インターナショナル)はミャンマー中部のマンダレー付近の山中を通過する"パイプライン万里長城"。

第二次世界大戦で日本軍により重慶に追われた蒋介石の国民党に物資を供給するため、連合軍が険しい山中に建設し 、1945年1月に完工した「ビルマロード」に沿っており、現地ではパイプライン万里の長城と称されている。


ミャンマー西岸のインド洋では石油とガスの採掘が大々的に行われている。

韓国の大宇インターナショナルは2000年にA-1鉱区で ミャンマー最大規模のポテンシャルのShwe/Shwe Phyu ガス田を発見、その後、インドのOil and Natural Gas Corp に17%、Myanmar Oil & Gas Enterpriseに15%、インドのGAILと韓国のKogasに各8.5%を譲渡、大宇 の権益は51%となった。

更に同コンソーシアムは隣接するA-3鉱区でMyaガス田を発見、合計の可採埋蔵量は4.5~7.7兆立方フィートとされる。

重慶市政府は2004年末にミャンマーから雲南省昆明市まで原油パイプラインを建設し、その後昆明から重慶市まで延長するという計画を国務院に提出した。
中国の輸入原油の約8割はマラッカ海峡を経由しているが、このパイプラインが完成すれば、中国は中東原油の輸入ルートを複数持つこととなる。

ミャンマー軍事政権は2007年4月、PetroChinaに 、ミャンマー西部ラカイン州沖合で開発中のShwe/Shwe Phyu ガス田のガス購入権と、同州西部の港湾都布チャ ウビューから中国に向けたガスと原油のパイプラインの共同建設を認める決定をした。

2008年6月にPetroChinaはミャンマー政府や大宇グループのコンソーシアムとA1およびA3鉱区における天然ガスの販売・輸送に関する了解覚え書きに調印した。

天然ガス価格は100万英熱単位当たり7.72ドルで2013年から30年間の供給。

軍事政権は2008年11月、石油と天然ガスのパイプライン の経営権を中国に付与した。

チャウピュー(Kyaukpyu)近郊のマデ島にガス集荷基地と石油タンカー専用港を建設し、中部マンダレー近郊、シャン州ラーショーなどを経由して中国との国境の町ムセから昆明へと結ぶ。
石油と天然ガスパイプラインは平行して走り、全長771km。
中東などからの原油の年間輸送量は1200万トンで、将来輸送量を2200トンまでアップする。
天然ガスはA-1、A13ガス田から送る。

事業主体となる企業にはPetroChinaが50.9%、ミャンマー国営石油ガスが49.1%を保有する となっていたが、その後、大宇コンソーシアムメンバーが参加を表明、PetroChina 50.9%、大宇 25.04%、ONGC 8.35%、GAILlとKogasが各4.17%、ミャンマー国営石油ガス7.37%となった。

総事業費は石油パイプラインが15億ドル、天然ガスは10億4935万ドル。

石油タンカー専用港は中国が20年間の使用権を持つ。

軍事政権に払われる使用料などは年間10億ドル以上と見積もられている。

2009年10月31日、マデ島で着工式が行われた。

 


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