Solvay、欧州塩ビ事業をINEOSと統合、将来塩ビ事業から撤退

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SolvayとINEOSは5月7日、欧州の塩ビ事業を統合し、50/50のJVとする覚書に調印した。
今後、従業員の代表と協議した後、正式契約を締結する。

この覚書には将来のSolvayのJVからの撤退について記載されている。JV設立から4年から6年の間にINEOSがSolvayの持株を全て買取り、100%子会社とするというもの 。

買取価格はREBITDA(経常損益+支払利息+減価償却・減耗費)の平均の5.5倍となっており、SolvayはJV発足時に前渡し金として250百万ユーロを受け取る権利を持つ。

2012年実績ベースでは合計のREBITDAは257百万ユーロとなっており、この5.5倍では1,414百万ユーロとなる。

欧州の塩ビ事業は2007年以来、需要が30%も下落し、輸出も今後減少する見込みで、大幅な供給過剰が予想されており、シェールガス革命の恩恵を受ける米国との原料価格差も今後拡大する。

このため、2012年にTotalグループのArkemaが塩ビ事業をコモディティ製品に特化するKlesch Group に売却した。本件のその後は別記。

そのなかで Solvayは2011年にRhodiaの友好的買収を行い、スペシャルティ化を推し進めており、これはその一環である。
今後、石油・ガス用の特殊ポリマー、水及び健康分野、消費者用化学品(肌ケア、毛髪ケア)などに投資する。

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統合対象は欧州のクロルアルカリと塩ビ事業で、詳細は下記の通り。

  2012年売上高 対象 対象外
Solvay 19億ユーロ Solvin
(Solvay 75%, BASF 25%)
・塩化ビニリデン
RusVinyl(ロシアのSiburとのJV)
Solvayのクロルアルカリプラント Povoa、Bussi、Torrelavega
製塩プラント(Tavaux、Martorell、 Jemeppe)  
欧州の塩素誘導品
(エピクロルヒドリン、CLM、塩酸、Hypo)
 
フランスFevzinのエチレンの42.5%
(残りの出資はTotal)
 
Ineos 24億ユーロ Kerling
(Ineos ChlorVnyl)
ノルウェー Rafnesのエチレンの50%
(残りはIneos)

Solvayの統合対象は欧州の塩ビ事業だけであり、アルゼンチンとブラジルに工場を持つ子会社のSolvay Indupa とタイのJVのVinythaはSolvayに残る。

KerlingはINEOSの塩ビ事業子会社。

1986年にICIとEniChemが50/50の塩ビ事業JVのEVCを設立した。
2001年にINEOSがEVCの過半を買収、更にICIから塩素化学事業を買収した。
2005年にEVCを100%子会社とした。
  
2006/6/14  事業買収で急成長した化学会社

INEOS は2007年にNorsk Hydro からポリマー事業のKerling 社(旧称 Hydro Polymer)を買収し、INEOSの塩ビ事業をKerlingとした。

INEOSは2011年にベルギーのTessenderloに本拠を置く Tessenderlo Groupから塩ビ関連事業(LVM)を買収した。
 

 統合により、2012年の決算数値ベースでJVの売上高は43億ユーロとなり、PVC能力で信越化学に次ぐ世界第二位となる。


 

 


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