出光興産と三井化学、ベトナムのNghi Son 製油所・石油化学コンプレックスへの最終投資決定

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出光興産と三井化学は6月6日、両社とクウェート国際石油、ペトロベトナムとの合弁事業である総投資額約90億米ドルのNghi Son 製油所・石油化学コンプレックス建設プロジェクトの最終投資決定を行ったと発表した。

ベトナムのタインホア省ニソン経済区にコンプレックスを建設し、クウェートからの原油の安定供給をベースに、ベトナムの急増する石油製品需要を捕捉し、今後需給逼迫が予想されるアロマおよびポリプロピレン製品の輸出販売を行うもの。

JV:Nghi Son Refinery & Petrochemical Limited Liability Company(NSRP)
  出光興産 35.1%
  三井化学 4.7%

 
 クウェート国際石油 35.1% 
  ペトロベトナム 25.1%

設備:
 常圧蒸留装置(CDU) 日量 20万バレル
 重油直接脱硫装置(RHDS) 日量 10.5万バレル(世界最大級)
 重油流動接触分解装置(RFCC)
日量 8万バレル

 パラキシレン 70万トン/
 ポリプロピレン 37万トン
/年 三井化学が技術供与

総投資額 90億米ドル(うち、40億米ドルが出資者による出資比率での直接負担)

最終投資決定を受け、合弁会社は公的金融機関及び民間銀行等との間で総額50億米ドルのプロジェクト・ファイナンス契約を締結した。

国際協力銀行(JBIC)16.5億米ドル、韓国輸出入銀行からの直接融資6.6億米ドル(他に保証 4.4億ドル)計約23億米ドル
国内外民間銀行等からの融資 計約27億米ドル
(民間銀行等の融資に対しては日本貿易保険(NEXI)および海外輸出信用機関の保険または保証が付保される。)

本年7月に建設工事を開始し、2016年完工および2017年の商業運転開始を目指す。

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2004年10月、出興産は石油開発鉱区取得の調印後、ペトロベトナムより、本案件への参画検討の打診を受け、2006年に共同スタディを開始した。
同年2月に出光が
クウェート国際石油と三井化学に参加を打診した。

20083月に、出光興産三井化学がNghi Son Refinery & Petrochemical コンプレックスの建設に向け、装置の詳細設計や経済性、資金調達方法などを検討する合弁会社への参加を決定したと発表した。

合弁会社にはPetroVietnam25.2%、Kuwait Petroleum 35.1%、出光が35.1%、三井化学が4.7% 出資し、Nghi Son 経済区に日量20万バレルの製油所を建設する。2013年末の操業開始を目指した。(その後、上記の通り変更)

当時、出光興産は、出資理由を以下の通りとしていた。
①ベトナムのエネルギー供給事業に参画することで、同国とのパートナーシップのさらなる発展に貢献、
②クウェート原油の安定供給、出光の石油・石油化学事業で培ってきた建設・運転技術、ベトナムで急増する石油製品需要という三つの条件が揃った案件で、ベトナムでの収益基盤が構築できる。
③アジアでのさらなる事業拡大のチャンス、
④クウェートとベトナムとの一層の関係強化が図れ、安定した原油調達の確保にも寄与する。

三井化学はアロマ原料を安定的に調達することにより、PTAおよびフェノール事業の安定化と収益拡大につなげるとした。

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ベトナム政府は2007年9月に製油所の建設計画を明らかにした。9つの製油所を建設し、2025 年までに国内需要の90%を自国内の製油所でカバーするとし、原油処理能力の目標値を日量 111~121万バレルとした。


しかし、確定したのは3つのみ。
現在稼働しているのはPetroVietnam のズンクワット(Dung Quat)製油所で、2009年に稼働した。
能力は日量14.8万バレルで、
同社は増設を検討中。

ロンソン製油所には、当初ベネズエラ国営石油のPDVSAが参加を表明していたが、見送られた。

この製油所に隣接し、タイのSiam Cementグループとベトナム側のJVのLong Son Petrochemical が石化コンプレックスを建設する。
2012年1月、
Qatar Petroleum がこれに参加することが明らかになった。

2008/8/25 ベトナム最大の石化コンプレックス、9月に建設着工

2010/6/30付の日本経済新聞はJXホールディングスがズンクワットの拡張計画とロンソンの新設計画に加わると報じた。
(JXは、「当社が発表したものでもないし、具体的に検討している訳ではない」と述べ、報道を否定した。)


 


 

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