カナダのNOVA Chemicals、ポリエチレン拡大計画NOVA 2020 をスタート

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NOVA Chemicals は6月7日、アルバータ州Joffre でNOVA 2020計画の目玉の一つのポリエチレン拡大計画の起工式を行った。

Joffreには第一ポリエチレン(2系列)と第二ポリエチレンがあるが、第一ポリエチレンに第3系列(年産 43~50万トン)を新設する。
建設費は約10億ドル、2015年秋にスタートする予定。

シェール革命で北米の石油化学が生き返ったが、これもその一つ。

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Novaは2011年6月、コスト競争力のあるシェールオイル、シェールガスを活用し、拡大する北米のポリエチレン需要に対応するため、NOVA 2020計画を発表した。

同社はカナダ西部のアルバータ州Joffre と、東部オンタリオ州 Sarnia - Lambton に石化コンプレックスを持つ。
(Sarnia - Lambton地区にはCorunna、St. Clair River、Moore の3工場がある)

計画では、JoffreとMooreにそれぞれポリエチレン工場を建設する。更にMoore工場の既存プラントのデボトルネッキングを検討する。
Mooreの新工場は、同社が開発したポリエチレン技術 Advanced SCLAIRTECH 法を使用する第二のワールドクラスのプラントとなる。

原料のエチレンについては、既存のJoffreのエチレン利用増とCorunna のエチレンの増強で賄う。
エチレンの生産増には、シェールオイル・ガス、オイルサンドからのオフガスや、既存のエタンなど、多様化した原料ソースを使用する。
Corunnaのエチレンは原料を天然ガス100%利用できるよう改造する。2013年第3四半期からはMarcellus Shaleのエタンの使用を開始する。

NOVA Chemicals会長(親会社のアブダビのIPICの社長)は、IPICのグローバルの成長戦略の一環として北米におけるNOVAの拡大計画を喜んでおり、IPICはフルにサポートすると述べた。

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アブダビ国営の投資会社 IPIC(International Petroleum Investment Company )は2009年7月、カナダのNOVA Chemicals の買収を完了した。

その後、IPICはNovaの株式の24.9%を、Borealis(IPIC 65%:OMV 35%)に譲渡する構想が明らかとなった。
実際に当初はOMVのDeputy CEOがNOVAの会長になり、OMV主導でNova運営がなされた。
しかし、最終的にBorealisの出資はなかった。
2011年にはIPICが、NOVAとBorealisの合併を考えているとの噂が報道された。)

2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA Chemicals を買収

NOVAとIneos20073月に、NOVAの北米のSMPS事業を両社の欧州の50/50JVに移管することで合意したと発表、Ineos NOVAが200710月に発足した。 

しかし、2010年にNOVAは持分をIneosに譲渡し、撤退した。

2010/11/22  Nova ChemicalsIneos Novaから撤退


なお、NOVAは上記のカナダ西部のアルバータ州と、東部オンタリオ州のほかに、米国に2つの工場を持っている。
 
Beaver Valley 工場(Monaca, Pennsylvania):EPS(発泡ポリスチレン)とARCEL® 発泡レジン
  Painesville工場(Painesville, Ohio):EPS

同社は上記の通り、SM、PS事業をIneos NOVAに拠出し、後に離脱し持分をIneosに譲渡したが、「発泡PS ・機能製品」部門に属しているEPSについてはIneos NOVAに出していない。

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IPICは活動を全世界に広げている。日本のコスモ石油の筆頭株主である。

UAE 内陸油田ハブシャンからの全長360kmの原油パイプラインとフジャイラ港でのタンクターミナルの建設
フジャイラにて50万バレル/日の能力の輸出を主体とした製油所の建設
オーストリア 石油、ガス会社OMVに17.6%の出資
石化会社Borealisに65%の出資
  2006/11/10 
OMVとBorealis、オーストリアとドイツで石化増強

AMI Agrolinz Melamine International に50%出資(OMVが残り50%)
日本 コスモ石油に出資
韓国 Hyundai Oil Bankに出資(70%)
    ↓
2009/11/21 
現代グループ、Hyundai Oilbank の経営権を奪還
パキスタン パキスタンのPak-Arab Refinery Co.株式40%を保有(残りはパキスタン政府)。
キスタン政府との間で30万バレル/日規模の製油所建設を検討中(IPICが74%出資予定)
オマーン Oman Polypropylene に出資(出資するGulf Investment Corporationを通して)
エジプト Arab Company に出資
スペイン CEPSAに出資(47%にアップ)
中央アジア 2008/8/27 Abu Dhabi のIPIC、中央アジアに進出
カナダ 2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA Chemicals を買収

 


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