中国公安省は7月11日、GlaxoSmithKline の現地法人GlaxoSmithKline (China) Investment の役員らを賄賂や脱税容疑で捜査していることを明らかにした。
1週間前に当局は GlaxoSmithKlineの上海市、湖南省長沙市と、河南省鄭州
市の事務所を急襲し、社員を拘束した。
公安部はその後、4人の役員(趙虹燕、梁宏、黄紅、張国維)を深刻な経済犯罪を犯したとして刑事強制措置を行った。
同社は市場の拡大と医薬品価格の引き上げのため、政府の役人や医薬協会、病院や医師に多額の賄賂を支払ったとされる。
更に、違法行為のための現金を得るために増値税(付加価値税)専用の虚偽の伝票を使用した、旅行会社を通じて偽の伝票を発行した、虚偽の普通伝票を発行して現金を詐取したといった犯罪行為があったという。
また、その地位を利用して、旅行業者から賄賂やキックバックを受け取っていた。
当局は十分な証拠を得ており、容疑者は既に罪を認めているという。
旅行業者も容疑者として拘留され、取り調べを受けている。
本年初めにWall Street
Journalが内部告発者の情報として中国のGlaxoSmithKline の役員が医者や病院に賄賂を贈っていると報じた。
GlaxoSmithKline
は本年になって中国での不正行為を告発する内部告発を受け、調査を行っており、先週に賄賂や不正行為の証拠はないとの内部調査の結果を発表していた。
公安省の発表を受け、GlaxoSmithKlineでは調査に協力すると述べた。
同社の中国での売上高は2012年に17%伸び、12億ドルとなった。
GlaxoSmithKlineは7月15日、声明文を発表した。
「企業内の一部社員と第3者機関が、詐欺と非道徳的行為により非難を浴びていることについて、深い懸念と失望の意を表明する。中国政府の汚職根絶の決心を支持し、発生した件についてお詫びを表明する。当社は政府の関連部門の最新状況に対する調査に全力で協力し、調査によって導き出された結論に基づき、すべての必要な行動をとる」
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公安省は、医師への贈賄が幅広く行われ、中にはオフラベル(承認適応症以外)での処方に見返りを渡すケースもあるとの情報提供を受けて調査に入っていた。
中国では医薬品の市場は急速に拡大している。これまでは政府が医薬品の価格を管理してきた。
関係者によると、計画経済から市場経済への移行期に当たり、法律や規則が厳密に機能しておらず、賄賂やキックバックがかなり行われている。
ある医者によると、医薬会社のセールスマンが医者に賄賂を払うのは「隠れたルール」であるとしている。
2012年にはEli Lillyが米証券取引審議会に対して、ブラジル、中国、ポーランド、ロシアで政府の役員や医師に不適正な支払いを行ったとして29百万ドルの罰金を支払った
が、中国では国立病院の医師への贈り物や現金支払いのため、嘘の経費報告を行っていた。
最近では米司法省は世界の医薬大企業が販売推進のため世界中の医者や病院に不正な支払いをしていないかどうか、調査をしている。
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これとは別に中国の国家発展改革委員会(NDRC)は医薬品の価格設定システムを改善するため、GlaxoSmithKline、Merck、Novartis、Baxter Internationalを含む製薬会社のコストと価格を調査している。
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GlaxoSmithKline は6月11日、中国のR&D部門がまとめた研究データに事実と異なる部分があったとの声明を発表した。
同社な数週間前に、中国R&D部門の研究者が2010年にバイオ医学研究誌 Nature
Medicineに掲載した研究論文「Th17細胞の生存と増殖におけるIL-7の役割の重要性」のデータが捏造されたものだとの告発を受けていた。
調査の結果、データ捏造があることが確認され、中国の研究者1人が解雇されたほか、1人が辞職、3人が最終決定までの間、休職処分となった。
この研究では多発性硬化症に罹患した患者の血液サンプルを採用すべきだったが、実際には健康な人の血液サンプルを使っていた。
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