インドネシアのPertaminaとChandra Asri、石油化学計画で混戦

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昨年末からインドネシアの Pertamina (国有石油会社)とChandra Asri が石油化学計画で混戦を繰り広げている。


  Pertamina Chandra Asri 概要
2012/12

石化JV設立のMoU締結

PP 250千トン(投資額 2億ドル)
2013/3   (独Ferrostaal と)
西パプア石化計画のLoI締結
 
2013/4 (タイPTT Global Chemicalと)
石化JV設立のHoA締結
  エチレン、PP、PE、PVC
投資額40~50億ドル、2018年生産開始予定
2013/6   (仏Michelinと)
合成ゴムJVの契約締結
Michelin 55%、Chandra Asri 45%
投資額 435百万ドル
2013/6

石化JV設立を取り止め

 
2013/7   (独Ferrostaal と)
西パプア石化計画のFS実施
MTOでPP 400千トン、エチレン 175千トン
投資額 18.9億ドル


インドネシア最大の石油化学会社Chandra Asri Petrochemical は、クラッカーやPE増設などの石油化学の大増設計画を打ち出し、第一弾として2011年6月に年産10万トンのブタジエン製造設備を発注した。

2011/6/8  Chandra Asri の増設計画

しかし、同社は2011年12月、世界経済の状況が不安定なためとして大増設計画を棚上げすると発表した。
ブタジエン計画は続行し、2013年に完成させる。


2012年12月に Pertamina とChandra Asri は石化JV設立のMoUを締結した。
これはPertaminaとして川下の石油化学を拡充するもので、2億ドルを投じてPP 250千トンプラントを共同で建設し、インドネシアの拡大する需要に対応しようというものであった。

しかし、本年に入り、Chandraはドイツの建設・エンジニアリング会社のFerrostaalとの間で、PP 400千トンを含む西パプア石化計画のLoIを締結、別途Michelinとの間に合成ゴムJV契約を締結した。

2013/6/26   Michelin とChandra Asri 、インドネシアに合成ゴム製造JV設立

他方、Pertaminaは4月にタイPTT Global Chemicalとの間で、投資額40~50億ドルにも及ぶ石化JV設立のHoAを締結した。
6月にはその第一歩として
PTT Polymer Marketing との間でPTTのPE、PPの購入契約を結んでいる。

そして、Pertaminaは6月28日、Chandra Asri と共同で石化JVを設立する計画を白紙に戻すと発表した。

共同研究の結果、両社はJVの条件で合意に達せず、MoUを終了することで合意したとしている。

その後、7月に入り、ChandraはFerrostaal との間で、西パプア石化計画のFS実施を決めた。

ーーー

PertaminaとタイPTT Global Chemical のJVの構想は以下の通り。

インドネシアにワールドクラスの石化コンプレックスを建設する。
2013年末までにJVを設立し、設計・建設を開始し、2018年に商業生産を開始する。
投資額は40~50億ドル。

報道では、エチレン、PP、PE、PVCを生産するとしている。

Pertaminaでは、インドネシアの石化製品の需要増大と、Pertaminaの石油事業と石化事業の統合による巨大なポテンシャルを考え、石化事業をPertaminaの成長の柱の一つと考えており、PTTGCの石化における実績と経験からパートナーに選んだとしている。

2005年12月にタイのNational Petrochemical  (NPC) とThai Olefins (TOC)が合併し、PTT Chemicalが誕生したが、2011年10月にPTT Chemical とPTT Aromatics & Refining が統合し、PTT Global Chemical となった。

Pertaminaはインドネシア国内に6つの製油所を持ち、合計精製能力は原油ベースで日量100万バレルとなっており、アジアで5番目。

ーーー

Chandra AsriとFerrostaal の構想は以下の通り。

立地:インドネシアのWest Papua のTeluk Bintuni
製品:天然ガスを原料にメタノールを生産
    メタノールから、PP 400千トン、エチレン 175千トンを生産
投資額:18.9億ドル
完成時期:2019年
原料天然ガス:西パプアTangguh LNGから受ける予定

 

Tangguh LNGは6つのガス田(Vorwata, Wiriagar Deep, Ofaweri, Roabiba, Ubadari, Wos)のガスをLNGにするもので、BPが最大の権益保有者でオペレーターを務めており、日本企業が多く参加している。

LNG年産760万トンで、2009年7月に第一船が出荷した。

権益保有者 権益率
(%)
BP 37.16
MI Berau(三菱商事 56%、国際石油開発帝石44%) 16.30
CNOOC(中国) 13.90
日石ベラウ石油開発(JX 51%、JOGMEC 49%) 12.23
ケージーベラウ石油開発
(海外石油開発=三井物産、MI Berau、JX日鉱日石開発、
JOGMEC )
8.56
LNG Japan (住友商事 50%、双日 50%) 7.35
Talisman Energy(カナダ) 3.06
KG Wiriagar石油開発(海外石油開発、JOGMEC) 1.44

 


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