沖縄に枯葉剤のドラム缶?

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沖縄市諸見里にある市サッカー場で6月13日、ドラム缶15本ほどが見つかったが、このドラム缶にDow Chemicalの社名が記載されていた。

Dowはベトナム戦争当時に米軍が散布したダイオキシンを含む枯れ葉剤 Agent Orange を供給した企業であることから、枯れ葉剤が県内で貯蔵されていたことを示すものである可能性が出てきた。

ドラム缶に内容物は見当たらないが、石油系燃料の異臭を放っている。
ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤は、散布しやすくするため、液体のディーゼルなどの燃料と混ぜて使用されていた事実がある。

小野寺防衛相は6月24日、ドラム缶の中身の調査を実施する考えを示した。「今週中に(調査の)契約を結ぶ。問題があれば最後まで責任をもって対応する」と述べた。
 
7月2日の調査では発見地点の残土やドラム缶から試料を採った。ダイオキシン類や農薬が残留しているかどうか、1カ月ほどかけて調べる。

Dow ChemicalではAgent Orange の缶ではないとするが、古い話で情報不足のため、ドラム缶の中味が何であるかは分からないとしている。

現地は嘉手納基地に隣接しており、1987年に返還された。
この周辺はゴミ捨て場になったが、沖縄市は1996年に2箇所の土質調査のみでサッカー場用に造成した。

今回、芝を人工芝に張り替える工事に取り掛かり、地下に排水管等を敷設する必要が生じ、50センチほど掘った時、ドラム缶が出て来た。


ベトナム戦争時に米軍はベトコンの隠れ場となる森林の枯死と、ゲリラ支配地域の農業基盤である耕作地域の破壊を目的に大量の除草剤を散布した。

オレンジ、ホワイト、ブルーの3種類の除草剤(Agent)が用いらた。総称して虹枯葉剤と呼ばれる。
Agent Orangeは2,4-D と2,4,5-Tの50/50混合物、Agent Whiteは2,4-D
Picloram4:1の混合物で、Agent Blueはカコジル酸を元にしたもので植物の脱水化を図る。

このうち特に大量に使用されたのがAgent Orangeで、Defence Production Actに基づき、Dow Chemical、Monsanto、Hercules、Diamond Shamrock、Uniroyal、Thompson Chemicals、T-H Agricultural & Nutrition が製造した。

Agent Orangeにはダイオキシン類が含まれており、動物実験では催奇形性が確認されている。
 
ベトナムの枯葉剤散布地区では、散布前と比べ流産が2.22.7倍に、奇形は約13倍になっている。

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米国はこれまで、沖縄に枯葉剤が保管されたことはないとしてきた。

 

しかし、本土復帰前の沖縄に持ち込まれていたことが、住民や米軍関係者の証言で明らかになっている。


琉球朝日放送は1月14日、
ベトナム戦争当時枯れ葉剤が嘉手納のアメリカ軍施設に保管されていたことを示す公文書がアメリカ陸軍への情報公開請求で見つか ったと報じた。

1971年に作成された国防総省の文書で、太平洋軍司令部の管内で枯れ葉剤が備蓄されている場所として「タイ、そして沖縄・嘉手納」の名前が明記されている。

2012年には復帰直前にアメリカ空軍が沖縄にあった25千本の枯れ葉剤のドラム缶を南太平洋のジョンストン島に運んだという公文書が見つかってい るが、米政府は沖縄に枯れ葉剤があったことを否定し続けている。


付記

沖縄市は7月31日、市独自の調査を発表した。

ドラム缶の周辺液体や付着物から水質基準値の280倍、土壌基準値の8.4倍のダイオキシン類が検出された。
Agent orange の主要成分 2,4,5,T はドラム缶22検体中18検体で検出されたが、同様に主要成分の2,4-Dは全検体で検出されなかった。
一部検体でPCBやヒ素も検出された。

Agent Orangeは2,4-D と2,4,5-Tの50/50混合物。

調査結果の最高値
採取物 項目 検出値 環境基準値
ドラム缶付着物 ダイオキシン類 8400pg-TEQ/g 土壌参考 1000pg-TEQ/g 以下
ドラム缶周辺の液体 同上 280pg-TEQ/L 水質参考 1pg-TEQ/L 以下
ドラム缶付着物 PCB 3.2mg/kg 0.5mg/kg 以下
ドラム缶埋設地の土壌 フッ素 5.5mg/L 0.8mg/L 以下

 

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