INEOSは7月19日、東華能源(Oriental Energy Company)にInnovene PP 技術を供与すると発表した。
寧波大榭開発区に年産40万トンのPPを建設するもので、原料プロピレンは同地に建設するプロパン脱水素(能力1,320千トンの第一期660千トン)プラントから供給を受ける。
東華能源は1996年に設立された。(当初名は張家港東華優尼科能源)
株主は張家港保税区経済開発公社と中国中信集団公司(香港)、Allied
Oil International
の3社で、LPGの輸入販売を主業務としている。
東華能源の計画は以下の通り。
立地:寧波大榭開発区
計画:
事業者 第一期 第二期 合計 プロパン脱水素 寧波福基石化 660千トン 660千トン 1,320千トン PP 張家港揚子江石化 400千トン -
400千トン 寧波福基石化(Ningbo Fuji Petrochemical):東華能源100%子会社
張家港揚子江石化:2011/9設立のJVで、株主は下記。
東華能源 56%、江蘇華昌化工 22%、 江蘇飛翔化工 22%第一期は2014年初めに完工、3~6カ月で生産開始としている。
これとは別に、東華能源は2011年に本拠地の張家港市に張家港揚子江石化を設立した。
株主は張家港揚子江石化と同じ3社。
プロパン脱水素132万トンの計画で、第一期66万トンについては2012年4月にUOP
LLCが技術供与した。2014年にスタートする計画。
下記のCNCICの資料では、PP 40万トン計画が記載されている。
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なお、INEOSは7月11日にはCNOOC にHDPE技術(Innovene S)を技術供与すると発表している。
立地は広東省恵州市で、能力は年産400千トン。
広東省恵州市にはCNOOCとShellとのJVの中海シェル石油化学(CNOOC and Shell Petrochemicals) があり、エチレン800千トンのコンプレックスを持ち、Basell 法によるHDPE 200千トンプラントも持っているが、今回はCNOOCの単独事業と思われる。
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CNCIC(中国化工信息中心:旧化学工業省の科学技術情報研究所を母体とする機関)は2013年4月にSingaporeでシンポジウム CPIC
2013を開催したが、その中に「中国のポリオレフィン事業の発展と予測」というレポートがある。
http://cpic.cncic.gov.cn/bookpic/201342312375951506.pdf
現在建設中 or 検討中のポリオレフィン計画では、MTO/MTP(石炭→メタノール→オレフィン→ポリオレフィン)が非常に多いが、PPについてはPDH(プロパン脱水素)によるものも ある。(上記の東華能源の2つの計画も記載されている)
ナフサ MTP PDH 合計 LDPE - 1,290 - 1,290 LLDPE 1,050 3,230 - 4,280 HDPE 900 2,150 - 3,050 PP 4,770 8,410 1,860 15,040
このうちの主な計画は以下の通り。(図の上段の4つは既設)
当然ながら、MTPは内陸部の石炭産地にあり、PDHは輸入プロパンを原料とするため沿海部にある。
既存のMTP計画の概要は以下の通り。
シノペック中原石化(Sinopec Zhlongyuan)は2011年10月、河南省濮陽市で最初のS-MTO計画をスタートさせ、エチレンとプロピレンがオンスペックとなった。
メタノール 60万トンからオレフィン 20万トンを生産、これから、PP 10万トン、PE 6万トンを生産する。
包頭神華石炭化学(Baotou Shenhua Coal Chemical) は神華集団 76%、上海華誼集団公司 24%のJV。
メタノール 180万トン、MTO 60万トン、PE 30万トン、PP 30万トン
2006/12/23
中国のMTO計画
大唐多倫煤化工(Datang Duolun)は大唐国際発電が60%、中国大唐集団公司が40%のJVで、内蒙古自治区Duolun県でUnipol法で46万トンのPPを生産している。
神華寧夏石炭グループ(Shenhua Ning Coal)は公称 52万トン。
2011/10/26 中国の"Coal to Olefins"の現状
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