米エネルギー省、非FTA締結国向けLNG輸出で3件目の承認

| コメント(0) | トラックバック(0)

米エネルギー省は8月7日、Lake Charles Exports, LLCに対し、Louisiana州のLake Charles Terminal からの非FTA国向けのLNGの輸出を承認した。

20年間にわたり1日当たり最大20億立方フィート(2.0Bcf/d) 、年間1500万トンの輸出を認めた。
FTA締結国向けの輸出については2011年7月22日に既に承認を受けている。

Lake Charles Exports, LLCはSouthern Union Company と英国のBG Group が共同所有している。

Southern Union CompanyはEnergy Transfer Partners, L.P の100%子会社。
Energy Transfer Partners, L.PはSunocoの親会社でもある。

BG Groupは当初の名称はBritsh Gas。

Lake Charles Terminal はTrunkline LNG Companyの所有で、天然ガス液化設備と輸出設備はBG LNG ServicesとTrunkline LNGが共同で建設する。液化設備は3系列(合計年間1500万トン)で、2018年に第1系列の完成を予定している。
輸入LNGのガス化設備も設置する。
天然ガスはBG LNG Servicesが供給する。

輸出契約については現時点では締結していない模様。

ーーー

米国はLNGを戦略物質とみなし、輸出を個別の許可制にしている。

唯一の例外は本土48州に輸送不可能だったアラスカのKenai LNGの輸出だった。

米国は輸出承認で米国とFTAを締結している国とそれ以外で差をつけており、FTAを結んでいない日本はガス輸入のハードルが高い。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

米エネルギー省は2012年12月、LNGに関する報告書を発表し、全てのシナリオで、LNG輸出は輸出をしない場合と比べ、ネットで経済的メリットがあるとした。
しかし、米国の天然ガス輸出を巡っては、Dow Chemical と ExxonMobileが米国の産業界を2分して争っている。

2013/1/30 米国の天然ガス輸出論争、激化

ーーー

エネルギー省はこれまで、非FTA国向けの輸出を2件承認している。

1)2011年5月のCheniere EnergyのSabine Pass LNG Terminal

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題

2)2013年5月17日のFreeport LNG
  同社の計画には中部電力と大阪ガスが加わっており、2017年にも日本への輸出が始まる見通し。

2013/5/20 米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可


承認を受けた3つの計画の概要は以下の通り。

会社名 立地 概要
Cheniere Energy

本事業のため
Blackstoneが出資


Sabine Pass LNG Terminal
(Cameron Parish, LA)
承認:2011/5(FTA締結国向けは 2010/9)
数量:2.2 Bcf/d(年間1600万トン)
期間:20年間
輸出契約:
   BG Group   550万トン
   Gas Natural (スペイン)   350万トン
   Gail(インド)   350万トン
   Kogas(韓国)   350万トン
   合計    1600万トン

  注. 承認時は韓国はFTA未発効

Freeport LNG

株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
数量:1.4 Bcf/d(年間900万トン)
期間:20年間
輸出契約:
   大阪ガス   220万トン
   中部電力   220万トン
   BP Energy   440万トン
   合計     880万トン
Lake Charles Exports

 株主:
 Southern Union Company
 BG Group

Lake Charles Terminal
(Lake Charles, LA)
承認:2013/8(FTA締結国向けは 2011/7)
数量:2.0 Bcf/d(年間1500万トン)
期間:20年間
輸出契約:未定
    BG Groupがパートナーのため、当然BGは対象



認可待ちの計画は以下の通り。

会社名 立地 概要
Dominion Energy Dominion Cove Point
  LNG Terminal
(Chesapeake Bay
 in Lusby, Md.)
承認:未(FTA締結国向けは 2011/10)
数量: 年間525万トン
期間:
輸出契約:
    住友商事  

230万トン

 
     (東京ガス)  

(140万トン)

 
          (関西電力)   ( 80万トン)  
   Gail(インド)   230万トン  
   合計    460万トン  
  https://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#sumisho
Cameron LNG

株主:
Sempra Energy 50.2%
三井物産 16.6%
Japan LNG 16.6%
(三菱商事
/日本郵船)
GDF Suez  16.6%

Hackberry, LA 承認:未(FTA締結国向けは2012/1)
数量:1.7 Bcf/d(年間1200万トン)
期間:
輸出契約:
   三井物産  

400万トン

 
   三菱商事  

 400万トン

 
   GDF Suez   400万トン  
   合計    1200万トン  
  https://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#LNG
Jordan Cove LNG

株主:
Veresen Inc

Port of Coos Bay, Oregon 承認:未
数量:1.0 Bcf/d(年間 600万トン)
期間:
輸出契約:未定


8月10日にワシントンで始まった米中両国政府による「戦略・経済対話」で、中国側が、米国のシェールガスをLNGとして輸入することに興味を示したことが分かった。米国は「潜在的な輸出相手」と表現し、可能性を排除はしていない。



トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/2273

コメントする

月別 アーカイブ